「人事って、何をやっているのかよく分からない」「人事との会話は、経営層に筒抜けで信用ならない」――人事に対して、こう感じる人も多いのではないでしょうか。
筆者も現場部門にいたころは、人事部門とのコミュニケーションを避けがちでした。会話内容が評価にそのままつながってしまのではないかとか、課題を相談したら、逆にマネジメントの能力不足を指摘されてしまいそうだとか、悪い印象を持ち、なかなか本音で話ができませんでした。同じように、人事部門にいい印象を持たない社員は、どの企業でもいるはずです。このように人事と現場部門は溝ができてしまいがちで、現場とのコミュニケーションに悩む人事パーソンも多くいると思います。
筆者は多くの企業に携わってきましたが「現場部門と人事が信頼関係を築いていること」は、人事施策を進める上で最も重要なことです。いくら素晴らしい人事制度を作ったとしても、制度を運用し、進めていくのは現場部門です。現場部門が人事を信頼し、前向きにならなければ、いい施策も効果につながりません。組織の主役は、あくまで現場部門なのです。
筆者の人事キャリアは、ちょうど40歳からスタートしました。予想もしていなかった、突然の人事への異動でした。当然、人事に関する知識もなく、全くの素人からのスタートとなりました。何から手をつけていいのかすら分かりません。
当時の会社には、400人以上の社員がおり、人事知識がない筆者がすぐにできることは何もなく、できることは社員と会話をすることくらいしかありませんでした。しかし、着任して間もない素人の人事に、現場部門の社員が積極的に話をしてくれるはずもありません。現場部門の社員と面談をするといっても、忙しい現場部門の社員が快く面談に応じてくれるはずもありません。
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