という中で、ではなぜマツダはEVの比率を5倍で再発表したのかといえば、これは政府によるパワハラの疑いが濃厚である。官庁方面から漏れてくる噂(うわさ)話ではあるが、小泉進次郎環境相は、自動車メーカー各社を訪問しては「悪いようにはしないから、環境省の数字を飲め」と言って回っているらしい。真偽のほどは何とも言えないが、小泉環境相の日経のインタビュー記事などを見ていると、まああながち……とは感じる。
さらに、ここ最近では経産省の旗振りの下、SDGsを錦の御旗にして、環境問題に積極的でない企業には機関投資家が投資をしないという脅しまがいの圧力まで掛かっている。「環境問題に積極的であるべし」という話自体は分かるが、それは気候変動への貢献そのもので評価すべきであり、一手段に過ぎないEVの生産比率を持って貢献度の指標とするのは明らかにおかしい。
つまり株価の爆挙げで味を占めた人達の存在だ。EVシフトで金もうけをしたい金融界隈(かいわい)の人々が、環境に名を借りて投機のために暗躍している構図がそこはかとなく透けて見える。ライフサイクルアセスメント(LCA)で評価した時、EVは本当に突出してCO2削減効果が高いのだろうか? そこには明らかにいろいろなグレーゾーンが含まれており、EVだけが完全無欠な解決手段とするには不確定要素が多すぎる。
逆に問いたい。なぜ自動車メーカーが過去10年に削減したCO2の総量実績で評価してはいけないのか? こちらは実績値であるだけに地球環境への貢献は揺らがない確定事実である。
原則に立ち返れば、SDGsは、自然な形で社会全体の環境意識を高めていくものであって、企業を恐喝していうことを聞かせることを目的にするのはおかしい。投資対象を恣意的指標で選別して批判、ましてや排除するツール化するのはそもそも自由経済と相容れないし、仮にそういうやり方をするのであれば、評価に対する厳格な監視と罰則を設けるべきだろう。東芝の一件を見ても、目的のためには手段を選ばない姿勢が強く、経産省はそのあたりのルールに対する規範意識が著しく欠落しているように見える。
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