ビフォーアフターで見る、本当にあった1on1失敗例 「部下の話を聞けない上司」編典型的な1on1失敗例とは(4/4 ページ)

» 2021年06月30日 05時00分 公開
[高橋実ITmedia]
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部下の話を聞けない理由(1)上司が話をしたくなってしまう

 知識や経験も豊富な上司は、自分の考えていることを部下に伝えたくなりがちです。従って、意識をしなければ上司からの話が多くなってしまいます。上司は、まずは「聞く」ことを意識して、話したい気持ちをぐっと抑えて部下の話を聞くようにしましょう。

部下の話を聞けない理由(2)話の先が読めて興味がなくなってしまう

 知識も経験も豊富な上司にとって、部下の悩みは、自分が体験してきたことも多く、部下の話の先が読めてしまうこともあると思います。話の先が見えてしまうと興味を失ってしまい、さらに部下の話が聞けなくなってしまいます。上司には簡単なことでも、部下にとって一大事なことも多くあります。まずは、興味を示して聞くことが大切です。

部下の話を聞けない理由(3)自分と価値観が異なり、聞きたくなくなる

 時として部下が、上司である自分と異なる考え方を話したり、明らかに間違ったことを話したりしてしまうこともあるでしょう。そんなとき、「それは違う」と部下の言葉を遮るのではなく、なぜ部下はそのような考えに至ったのかをしっかりと聞いてあげることも必要です。

部下の話を聞けない理由(4)会話の後の話を考えて聞けなくなる

 部下が悩んでいることを話している間に、その問題をどう解決するかを考えてしまったり、次に話題にすることを考えてしまったりすると、部下の言葉が耳に入らないことがあります。まずはしっかりと部下の話に耳を傾けなければなりません。考えるのは、それからでも遅くありません。

 さて、部下の話を聞けない上司の典型例をいくつか挙げました。これらのポイントは、どのような上司でも陥りがちなワナです。意識するだけでも、部下の話を聞きやすくなるはずです。

(画像はイメージ、出所:ゲッティイメージズ)

上司と部下に共通する「情報量」を増やそう

 上司として、部下のマネジメントで最も大事なことは「部下との信頼関係を構築する」ことです。信頼関係は、共通の「情報量」が多ければ多いほど強くなります。お互いの情報量を増やすには、上司が一方的に話をするだけでなく、部下の話に耳を傾け、話を聞くことが必要になります。部下に話をさせることで、お互いの情報量は増えて、より強い信頼関係が構築できるはずです。

 コロナ禍の接触制限により、上司と部下のコミュニケーションの絶対量は減っています。「部下とコミュニケーションを取れなくなった」と嘆く上司も多いです。しかし「話を聞く」ことは、リアルであってもオンラインであっても基本は変わりません。コロナ禍の今こそ、今まで以上に部下の話を聞き、お互いの情報量を増やしていくことが部下マネジメントを成功させる秘訣なのではないでしょうか。

著者プロフィール・高橋 実(たかはし みのる)

組織・人事クリエイティブディレクター/マイクロ人事部長

株式会社モザイクワーク 取締役

株式会社ティーブリッジェズカンパニー 代表取締役

法政大学 兼任講師ほか、複数企業の人事責任者として従事。

慶應義塾大学卒業後、株式会社ジェーシービーでインターネット黎明期の新規事業立ち上げに従事、その後NTT、トヨタのクレジットカード事業立ち上げに参画。その後人事に転身し、トヨタファイナンス株式会社、創業100年企業、株式会社HDE(現HENNGE株式会社)で人事部長を歴任したのち、「人事の複業」として複数企業の人事責任者としてハンズオンで企業の組織改革を手掛けている。

新卒、中途、アルバイト採用変革、外国人採用、人事制度改革、女性人材活用、組織改革プランの企画・実行、HR Tech導入、労務実務改革、組織健康戦略、戦略総務(BCP/リスクマネジメント/オフィスファシリティマネジメント)など、企業の中に入ってハンズオンで行っている。セミナー登壇・メディア出演多数。

「高橋実@マイクロ人事部長」としてnoteでも情報発信を行っているほか、Twitter、Linkedinでも活動している

note:「高橋実@マイクロ人事部長」

Twitter:みのる (高橋実)| マイクロ人事部長

Linkedin:Minoru Takahashi


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