最も多かったのは、上司が一方的に話をしてしまい、部下の話をほとんど聞けないケースでした。8割以上の上司が、自分中心に話をしていて、部下は聞いているだけ、というパターンだったのです。会話時間のほとんどを上司が話しており、部下は「はい」「いいえ」しか言葉を発しない、というケースもありました。
上司A:最近のB君の営業成績はかなりいいね。
部下B:そうですね。
上司A:やっぱり新規で山田工業が契約できたのが大きいね。山田工業の契約は難しかったとは思うけれど、粘り強くやってもらったね。
部下B:ありがとうございます。
上司A:でも、まだ課題は多いよね。やっぱり今は全体的に営業の活動量が少ないね。もっと新規の見込み先をどんどん回らなきゃ。僕がB君くらいのときには1日3件は新規先にあいさつへ行っていたよ。そのためには無理にでも行くと決めて、時間を作らなきゃだめだよね。まだB君はオフィスにいる時間が長いんじゃないかな。自分で決めて、自分で行動を起こさないと。
部下B:はい……。分かりました。
上司A:新規先を回れば、自ずと実績はついてくるから。B君にはもっと上位職を目指してもらわなければ困るんだから、頼むよ。
部下B:分かりました。頑張ります。
上司A:うん。いい話ができたね。それじゃ、引き続き頑張って。
どうでしょうか。こうして文字にしてみると、上司ばかり話をして、部下がほとんど話していないことがとてもよく分かります。読者の中には、このようなパターンの面談を経験した人も多くいるのではないでしょうか。
筆者も、以前はこの会話と同じような面談を多くしていました。もちろん上司は、決して悪意がありこのような会話をしているわけではありません。上司自身が考えていることをしっかり伝えたいとか、部下へのフィードバックを真面目にしたいと取り組んだ結果が、こうしたスタイルの面談なのです。
この面談が、上司の考えを伝えることを目的にしているのであれば、このような内容でもいいのかもしれません。しかし、上司の考えを一方的に伝えるだけでは、悩んでいる部下の課題を解決して、成果を上げられるようになるのは難しいのです。
では、どうすればいい面談になるのでしょうか。それは「部下の考えを聞く」ことだと筆者は考えています。具体的に、ビフォー&アフターのような形で、どう改善すればよいのかを見ていきましょう。
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