攻める総務

都庁のDX「シン・トセイ」 脱FAX・紙・ハンコを、いかに推進したのか古い組織をどう変えていった?(5/5 ページ)

» 2021年07月28日 07時00分 公開
[BUSINESS LAWYERS]
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4.デジタル化に着手するうえでは、まず実践を通じた取組みを

──東京都では2021年4月、デジタルサービス局の立ち上げという大きな動きがあります。東京都のデジタル化へ向けた今後の展望について伺えますか。

前林氏:

 「シン・トセイ」にも書かれている通り、デジタルサービス局には都庁のDXを進めていく旗振り役としての期待が非常に大きいと感じています。現在所属する任期付き職員のスキルを生かしながら各局を支援し、DX化に向けて大きく取り組んでいきたいです。

 その1歩目としては、「シン・トセイ」に掲げている各局リーディング・プロジェクトが取り組むべき課題です。また市区町村の支援にも引き続き注力し、都庁だけが改善していくのではなく、東京都全体として行政サービスをアップデートしていきたいと考えています。

南氏:

 「シン・トセイ」の実行として、担当している、契約・支出関連事務のデジタル化について、まずは事業者と都のやりとりからデジタル化を推進し、最終的には、起案から支出までの全てのやりとりがデジタルで進む環境を作っていきたいと考えています。地道な取組みが求められますが、契約や会計の所管部門をはじめ、都庁内でもうまく連携しながら進めていければと思います。

小野氏:

 この度、「シン・トセイ」を策定しましたが、作って終わりではなく、職員一人一人にその内容を浸透させ、実行に移してもらうことが大切です。「シン・トセイ」が掲げる「改革の5つのキーワード」である「スピード」「オープン」「デザイン思考」「アジャイル」「見える化」はもちろん、「まずは実践」というマインドを全庁に浸透させ、実際の行動変容につながるよう取り組んでいきたいと思います。

──これからデジタル化を進めていこうと考えている民間企業の方へメッセージをいただけますか。

小野氏:

 デジタル化については東京都よりも取組みが進んでいる民間企業のほうが多いでしょう。われわれも引き続き、そういった先進事例を学び続けていきたいと思っています。今後着手する組織の方には、「まずはやってみる」ということをとおしてデジタル化を進めることをおすすめしたいです。掛け声だけだと、なかなかうまくいかないこともあるでしょう。実践から行動の変容につなげていくことが大事かと思います。先に働く環境を変え、後からマインドがついてくるという進め方も、デジタル化の1つの在り方ではないでしょうか。

(写真:弘田 充、取材・文・編集:BUSINESS LAWYERS 編集部)

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