ここであらためて再度、M&Aにおける組織・人事関連の主なアクションを下に整理しておく。経営層や人事責任者の方々は是非、下記の内容をご参考にしていただきたい。
(1)人事デューデリジェンス
入手可能な人事規程や人事データに基づき、対象企業の人員構成、役職構成、報酬体系と報酬水準、労務管理、労使関係、人材育成、人事オペレーションなど仕組みと運用実態を調査
(2)新組織体制の検討
(3)人事制度(等級・評価・報酬制度)の統合
(4)退職給付制度の統合
(5)コミュニケーションプランの策定
(6)組織最適化・人員調整の対応
(7)企業文化・組織風土の融合
(7)人事オペレーションの統一
上記の通り、M&Aに伴う人事・組織関連のアクションは非常に多岐にわたる。そのうえ、これらを短期間で実行しなければないため、困難を伴う。当然、人事責任者の方々は通常の人事関連業務を抱えながら、同時並行でM&Aに伴う人事対応を進めていかざるを得ない。M&Aプロジェクトにアサインされた人事責任者は、配下のメンバーへの権限委譲を通じて通常の人事業務が滞らぬよう全体最適を図る指揮統率力や計画力も求められる。
第2回では、M&Aを実際に検討していくプロセスにおいて人事の観点からどのようなアクションが必要となるのかを解説した。次回は、M&Aにおける人事関連のアクションとして特に重要となる「人事制度統合のポイント」について詳しく解説する予定だ。
クレイア・コンサルティング株式会社執行役員COO。
1972年生まれ、慶応義塾大学文学部卒。人材ビジネス企業のパソナ、外資系コンピューターメーカーのデルにて 計 8 年間現場人事の経験を積む。その後、国内系人事コンサルティングファームを経て、02年クレイア・コンサル ティングに入社。総合商社、電機メーカー、エアライン、百貨店、ITベンチャーなど、幅広い業種・業界を対象 に人事制度の設計・導入や人材育成体系の構築等を手がけるほか、セミナー講演や雑誌への寄稿なども行う。
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