バルミューダは21年度の売上予想を、当初150億円としていたが、BALMUDA Technologiesのローンチと、BALMUDA Phoneの発売に合わせて180億円に上方修正した。BALMUDA Phone関連で約30億円の売り上げを見込んでいる。
BALMUDA Phoneは約10万円のため販売台数として約3万台を見込んでいると分かる。20年度の5Gスマートフォンの出荷台数は約1101万台(出典:MM総研)であることを考えると、市場に与えるインパクトはほんの僅かだ。
逆にスマートフォンの総需要から見れば、BALMUDA Phoneのサイズ感や使い方、寺尾氏の提案に同意するユーザーは、販売見込み台数くらいはいるだろう。
自らデザイナーとして復帰し、「BALMUDA Phone」のデザインを起こした寺尾氏。本体に直線がないのがこだわりだ
「iPhoneやAndroid端末など、最新のスマートフォンはたくさんあるもの、ほとんど同じに見える。だからこそ選択肢を用意したい」と語った寺尾氏。これまでのバルミューダのヒット商品は売れるものを狙って作ってきたのではなく、作りたいものを作ったら売れた、という結果だった。同様にBALMUDA Phoneも、寺尾氏自身が持ちたいスマートフォンを具現化したものだ。
これまでも寺尾氏は、取材のたびに「マーケティングはしない」」と語ってきた。BALMUDA Phoneでも、トレンドやスマートフォンの進化の経緯などは全く気にしていないようだ。そこにあるのは、自らが信じる「いいもの」であり「いい体験」だ。
BALMUDA Technologiesの第1弾として発表した、BALMUDA Phoneは大きな波紋を呼んだ。すでに第2弾、第3段の開発も進んでおり、「BALMUDA Phoneはムービーを見るのには小さいし、6インチでも小さい。そこでスマートフォンとはいえない製品のデザインも始まっている」(寺尾氏)そうだ。これから出てくる新しいデバイスでも、バルミューダならではの「いい体験」が提案されることを期待したい。
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