――11月に発表した第3四半期の決算は好調で、通期でも大幅な増収増益が見込まれています。その要因は何でしょうか。
この数字は、実力のみというよりも追い風が吹いていることもあります。コロナ禍により人々が3密を避ける行動様式を取るようになったことで、いつもなら間口の広い商品の売れ行きに凸凹があるのですが、いまは全商品が好調です。
欧米ではこうした動きが既に出ています。アマゾンの社員などは家賃が高いシアトル市街地ではなく、リモートで仕事ができるために郊外に移る人、自分のホームタウンに帰って祖父母と3世代で暮らす人も増えています。そうなると郊外にはレストランもないので、家族3世代でアウトドアを楽しむようになり、オフロード4輪バギー、子ども用オフロードバイクなどが驚くほど売れています。
また近くの川や湖にボートを浮かべて楽しむアウトドアのファミリーレジャー領域が伸びていて、日本を含む先進国では、この傾向が出ています。陸も海も商品の在庫が全く足りない状態です。
その一方でフルオペレーションをしているにもかかわらず、経費がほとんど増えていません。経費には大きく分けて人件費と販売促進費の2つがあります。人件費は減らすつもりはありませんが、ディスカウントしなくても売れるので販売促進費を使って価格を下げる必要もありません。
また、これまでは試乗会やディーラーミーティングをホテルで500〜600人集めて開いていましたが、これもオンラインで開催するようにしました。そうすると、1万人以上の人が見てくれるようになりました。しかも経費はこれまでの10分の1以下で済みます。
10月にインドで開催したオンライン商品発表会では、開始と同時に13万人のアクセスがありました。インドではロックダウンが起きた昨年からWebサイトで商品を予約できるEコマースを導入し、一気に広がっています。このようにコロナ禍では、経費の掛からない最新のデジタル技術導入が一度に進みました。さらに出張費も掛かっていませんので、こうしたことが好決算につながっています。
――DXによる販売面への効果はありましたか。
Webサイトの構築などで、新しく作ったデジタル戦略部やIT部隊がサクサク動いてくれました。店頭での接点をWeb上での接点に置き換え、顧客との接点を減らさずに、かえって増やすことで販売にもきちんと寄与しています。
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