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海外売上比率9割の衝撃 ヤマハ発動機・日高祥博社長が2年連続「DX銘柄」に押し上げた軌跡を追うヤマハ発動機の展望【前編】(2/4 ページ)

» 2021年12月15日 05時00分 公開
[中西享, 河嶌太郎ITmedia]

粘り強い対話でDXを浸透

――DXを社内に浸透させるために、いかにして幹部や社員を鼓舞しましたか。

 社員に対して、きちんとコミュニケーションを取りました。まず執行役員に予知型経営の重要性を理解してもらい、合宿をして「10の誓い」に署名してもらいました、まず役員クラスを逃げられないように固めました。次に、年に2回ほど聞いている全世界の拠点長約40人を集める「グローバル経営会議」で、デジタル戦略を発表し理解してもらいました。

 2018年から2年ぐらい掛けて、IT部門のマインドをセットアップし、3年目からはプロジェクトや受け皿も作り、動き出しました。組織も変更し、スマートファクトリーを進めるための生産技術本部を作りました。製造部門の人にスマートファクトリーの意義を分かってもらうようにしました。

 IT本部の中にはデジタル戦略部を作って専任部隊を置きました。こうすることで「社長のDXに対する覚悟は本気だ」と思ってもらえるようになりました。

 新しいことをするときは、2割は賛成してくれますが、6割は反対、残りの2割は関心をもたないとよく言われます。粘り強く対話をして理解してもらうことが必要です。

 日本はテクノロジーを日々のオペレーションに取り込んでいく点で遅れています。当社も中段の後ろくらいに位置していますが、DXを推進することによって先頭に立とうと頑張っています。

ヤマハはエンジンメーカーとして1989年から8年間にわたりF1にも参戦していた
応接室にはさまざまなトロフィーや賞状が飾られていた

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