トップインタビュー
連載
» 2021年12月10日 07時55分 公開

NEC森田社長に聞くDXを推進する「3つのキーワード」 指針は「長期利益の最大化、短期利益の最適化」NEC森田社長を直撃【前編】(1/4 ページ)

NECがデジタル化の波に乗って飛躍しようとしている。その旗振り役である森田隆之社長にインタビューした。

[中西享, 今野大一,ITmedia]

 DX推進なくして企業の発展は望めない――。NECがデジタル化の波に乗って飛躍しようとしている。DXを進めるために必要な技術開発、人材の育成を含めて取り組んだことにより、経済産業省が東京証券取引所と共同で選定する「DX銘柄2021」に選ばれた。

 かつてのNECにはみられなかったチャレンジ精神によって、デジタル化のリーダー役を担っている。その旗振り役である森田隆之社長にインタビューした。

森田隆之(もりた・たかゆき)1960年生まれ。1983年にNEC入社、2002年に事業開発部長、2008年に執行役員、16年に取締役、18年に副社長、21年4月から社長兼CEO。大阪府出身(撮影:山崎裕一)

3つのキーワードの真意

――DX銘柄2021に選ばれた理由は何だと考えていますか。

 AIや生体認証などDXに関係する製品を提供しています。また、(2020年に予定通り開催されていれば)20年の東京オリンピック・パラリンピックの期間中に当社は、1カ月以上にわたりテレワークを実施する予定でした。その予行演習のため、19年にはNECグループ約4万人が1週間のテレワークを実施したのです。その結果、ネットワーク帯域やセキュリティなどさまざまな問題が出てきました。

 このため、システムやネットワークを増強し、また各種データについても重要度に応じて再分類をしました。同時に管理方法の見直しやアクセス権の再設定などを実行しました。

 その後、コロナの感染が拡大しましたが、テレワークへの移行をほぼ影響を受けずに実現しました。今では1万人を超えるグループ社員と、双方向型でのオンラインタウンホールミーティングを毎月開催しています。こうした点が評価されたと考えています。

タウンホールミーティングの様子

――イベント「NEC Visionary Week」で、森田社長はDXを進める上で3つのキーワード「コラボレーション」「オープン」「ベクトル」を挙げました。これは、どういうことでしょうか。

 コラボレーションの意義という意味で説明しますと、まず今の時代は何事も1社ではできません。また口だけではなく、ベクトル(方向性)を合わせたコラボレーションである必要があります。通信であればNTTや楽天モバイル。DXであればマイクロソフトやAWS(アマゾン・ウェブ・サービス)と、クラウドでグローバルレベルでのアライアンスを結び、実際に進めていきます。

 さらに、DXを進める際にはカスタマーエクスぺリエンスが重要であるため、企業向けサービスマネジメントのSaaSプロバイダ「ServiceNow」や、ソフトウェア会社「SAP」などとコラボをしています。

 2つ目の「オープン」についてです。IT企業であれば当たり前ですが、ITの世界で20年ほど前に経験したオープン化が今、通信の世界で起こっています。オープンはスループット(処理能力)、機能不足、信頼性などが懸念されているものの、いずれ技術によって解決され、市場が大きく広がります。

 「ベクトル」は「未来の共感」と同じ意味です。未来像として「何のためにやるのか」「将来どうなるのか」といったビジョンがステークホルダーに共有されないと、ビジネス現場では物事が進んでいきません。テクノロジーと業務が不可分となる中、制度や人、教育などあらゆる観点で変えねばならないと思います。

――21年3月期の決算で営業利益率5%を達成しました。ただ5%という数字は、一般的な企業と比べると低いのではないでしょうか。

 その通りですが、NECの歴史を見ると、そのような低い状態が続いていました。まず、18年度から20年度までの2020中期経営計画では、今回初めてマーケットに発表した年度ごとの目標値を達成しました。これは過去に記憶がなく、これまでで初めて立案した中計を達成できたことになります。

 5%という数字は他社から見ると高くないかもしれませんが、まずこの5%を達成し、スタート台には立てたと考えています。2025中期経営計画では8.6%を目標としています。10%を目指していきたいのですが、ある程度の事業投資も必要です。現時点でしっかりした土台のある事業は10%以上を目指してもらいますが、成長途上の事業、初期の種まき段階の事業のバランスも考慮した上で 、25年度時点で8.6%という数字を約束しています。

――2025中期経営計画では売り上げよりも利益率を重視しているのでしょうか。

 私は常に「長期利益の最大化、短期利益の最適化」と言っています。持続的に研究開発をして将来に向けて投資するには、相応の利益を稼がないといけません。そのため、利益率だけでなく利益額を重視しています。

 売り上げ規模を追い求める文化がまだ社内に残っていますが、売り上げ規模よりも利益だと今の段階では強調する必要があると考えています。結果として売り上げ、利益が共に増えれば一番良いですが、ともすると売り上げが先行し利益が後になるケースも少なくありませんでした。成長を求める「シェア至上主義」があったのではないかと思います。

2020中期経営計画の振り返り(2025中期経営計画の資料より)
       1|2|3|4 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセスランキング
  • 本日
  • 週間

    Digital Business & SaaS Days

    - PR -