デザイン思考テストは、前半の「創造セッション」と、後半の「評価セッション」で構成されている。テストといっても“正解”が存在するわけではなく、自分でペルソナやシーンを設定し、それに対する課題と解決方法を考えていく内容だ。「実際にテストを受けた学生さんからは『大喜利みたい』と言われます」と松本氏は笑う。
創造セッションでは、まず画面に表示される「誰が」「どこで」「いつ」の選択肢から任意のものを選んでペルソナとシーンを設定。続いて、そのペルソナが抱えている悩みを想像して記入する。
たとえば、「話好きな父親」「近所のスポーツジム」「急いで走っている時」を選択したなら、ペルソナの悩みには「人間ドックを控えたメタボ気味の中年男性は、家族や職場悩みを共有できるジム仲間が欲しい」と記入するイメージだ。
次に、その悩みを解決するために使う技術やデータは活用のタイプを選び、それを使った具体的な解決のアイデアを記載する。先ほど設定したペルソナの悩みであれば、活用するものに「履歴を共有する技術またはデータ」を選び、ジムの利用者同士でトレーニング時間などを共有するサービスの具体的なアイデアを出すといった流れになる。
創造セッションの回答時間は30分で、その間に質と量両面を意識しながらアイデアを出していく。30分で15個のアイデアを出す受検者もいる一方で、30分で1つしか出せない人もいるなど、かなり個人差が現れるそうだ。
後半の評価セッションは、他の受検者の回答を評価するパートとなる。「設定されたペルソナの悩みにどのくらい共感できるか」「その課題は他の手段で既に解決されているものではないか」「解決方法に新規性はあるか」「実現可能性は高いか」の4つの軸について、4段階で評価を行う。
テストの結果は、「創造力」「評価力」の2種類のスコアで算出される。特徴的なのは、単純な多数決でスコアを出しているのではなく、「誰が評価したのか」という、評価者一人ずつの“目利き力”に応じた評価の重み付けが反映されている点だ。
「特許技術を取得した独自のアルゴリズムを使い、その人の“目利き力”を測っています。目利き力のある人が高く評価したものが高品質なアイデアとされ、逆に目利き力の低い人が高く評価してもその結果はあまり反映されません」(松本氏)
相対的に自分の評価を上げようと考えて他人のアイデアを低く評価しても、「目利きのできない人による評価」と判定されて、その評価は相手のスコアには反映されにくくなり、自分の評価力のスコアも下がってしまうため不正も行えない。
評価精度に対する企業の評価も上々だという。従来の選考プロセスと併用する形で試験導入したエンタメ系企業では、デザイン思考テストのスコア上位の学生と、従来のプロセスで内定レベルと判断された学生がほぼ一致する結果になったそうだ。
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