輸送密度の計算式をおさらいしてみよう。義務教育レベルの数式である。
輸送密度=「調査期間の輸送人数(人キロ)」÷「調査区間の距離」÷「調査期間の営業日数」
これが公式だ。調査期間は月間、年間など任意の期間を指定できる。もっとも、ローカル線問題では年間の数値で論じられるから、実態はこうだ。
輸送密度= 「年間の輸送人数(人キロ)」÷「調査区間の距離」÷「年間の営業日数」
【年間の輸送人数(人キロ)】
実際に乗車した人数と距離を積算した数字だ。人数ではなく輸送量を示す。「人数×乗車キロ」だから、2万人キロといった場合は2万人ではない。C駅とG駅を結ぶ路線があって、途中にD駅、E駅、F駅という駅がある。この場合、C駅〜G駅の全区間乗車した人、C駅〜D駅、C駅〜F駅、D駅〜E駅、E駅〜G駅などなど、毎日のさまざまなパターンの乗客について、すべて人数と距離を計算する。もちろん大変面倒な作業だ。
その作業のもとになる資料は「乗車券・定期券の販売実績データ」と「IC乗車券の乗降データ」だ。国鉄時代は「回収されたきっぷ」であり、だから使用済みきっぷは原則として回収した。集計する必要があったからだ。
国鉄時代は規則に厳しかったから、きっぷを記念にもらうなんて希少な経験だった。現在は記念にくださいといえば、使用済み証明のハンコを押して返してれる。記念用にデザインされたハンコもある。きっぷの販売時のデータを集計するようになったからだ。
だからって使ったきっぷを無断で持ち帰っちゃダメだよ。きっぷは「乗客が乗車する権利を契約した証明書」という意味もあって、使い終わったら返却しなければいけないという規則がある。
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