マーケティング・シンカ論

OMO7大阪が開業 星野リゾートが繰り広げる「あえての1ブランド」戦略ホテルが都市を変える(1/6 ページ)

» 2022年04月08日 05時00分 公開
[村田和子ITmedia]

 大阪・新今宮駅前に、星野リゾートが進出すると報道があったのが2019年のこと。あれから約3年、いよいよ4月22日、総客室数436室という大規模なホテル「OMO7大阪 by 星野リゾート」が開業する。

 OMO(おも)とは、リゾート運営の達人である星野リゾートが手掛ける都市観光ホテルブランドだ。

 18年4月にOMO7旭川、5月にOMO5東京大塚が開業して以降、2拠点での運営が長らく続いていたが、ここにきて急ピッチで拡大。昨年は京都市内の3施設に加え、沖縄(那覇)にオープン。今年に入ってからも、北海道に2施設(札幌すすきの・小樽)と東京(赤坂)に開業した。

 OMO7大阪は、ブランド10番目の施設となり、星野リゾートの全施設数に占めるOMOの割合は5分の1と、社内での存在感も増してきている。

 筆者はOMOの全施設に滞在しているが、OMOブランドを端的に表現するのはなかなか難しい。その理由の一つに、「OMO」という1つのブランドで展開していることがあげられるが、これも「あえて」の戦略だという。

 OMOのマーケティングユニットディレクター阿部裕氏へのインタビューを交えつつ、OMO7大阪の開業を前に注目を集める「都市観光ホテルOMO(おも)」の戦略を解説する。

OMO7大阪は4月22日、OMOの10施設目としてオープン
OMOの施設マップ

共通サービス「Go-KINJO」とは

 日本の国内旅行の60%は都市観光といわれていて、その滞在先はビジネスホテルというケースが少なくない。そこに一石を投じたのが、星野リゾート運営のOMOだ。

 ブランドコンセプトは「寝るだけでは終わらせない、旅のテンションを上げる都市観光ホテル」。街全体を一つのリゾートとして捉え、徒歩圏内のご近所をより深く味わう経験を売りにする。例えば館内にある「ご近所マップ」には、スタッフが足で稼いだ飲食店情報やガイドブックにはない地元御用達の穴場店舗をマッピング。また、街を知り尽くしたご近所ガイドOMOレンジャーが、ご近所を案内する「ご近所アクティビティ」も無料(※一部有料)で用意する。

 価格以外の差別化が難しい都市部のホテルにおいて、「ご近所」に軸を置いた体感型のサービスはユニークで、ステイホームで旅の楽しみ方を忘れかけている人にとっても存在感のあるサービスとなりそうだ。

ご近所マップには穴場スポットも多い(OMO7旭川)
ご近所マップは電子版も登場。囲むのは、OMOレジャーとご近所さん(OMO5東京大塚)
カラフルな衣装で街を案内するOMOレンジャーは、地元でも話題に
京都ではOMOレンジャーも街並みにあわせた衣装で登場。時に小道具も使いながら案内
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