マーケティング・シンカ論

OMO7大阪が開業 星野リゾートが繰り広げる「あえての1ブランド」戦略ホテルが都市を変える(2/6 ページ)

» 2022年04月08日 05時00分 公開
[村田和子ITmedia]

「都市観光=OMO」の認知拡大 あえての1ブランド展開

 OMOのホテル名には、数字が入っている。これはサービスの幅を表し3は宿泊特化型、5以上になると外来で利用可能なカフェ機能があり、7はレストランがあるフルサービスホテルというように数値が大きいほど機能を充実させている。

 ただ実際に宿泊をしてみると、必ずしも同じ数値のホテルなら体感価値が横並びということもなく、施設ごとの個性が際立つ。ホテル数が増え、通常でいうビジネスホテルから、OMO7大阪が開業するとラグジュアリーなカテゴリーまで、レベル感も混在し、ブランドとしての統一感という面では少々ぼやけた印象が否めない。ただこれもブランド戦略上は織り込み済みだと、阿部さんは語る。

OMOの数字はサービスの幅をあらわす

 「都市観光ホテルでは後発組とあって、まずは『都市で泊まるならOMO』という認知拡大を最優先、あえて1ブランドでの展開としています。多少の混乱や分かりにくさは織り込み済みです。新規案件の中には再生案件も多く、ハードについては元のものを生かしながらの運営が求められます。もちろん稼働を上げるという使命もあり、それらとのバランスをとりながらブランディングを進める難しさはあります。他ブランドもそうだったようにブランドプロミスも最適な表現に練り直し、顧客ニーズ、市場の成長にあわせてブランドを創造していく必要性は感じています」

OMOブランドの歩みとコンセプト

 そういった中、顧客のニーズと提供価値を結び付ける鍵が「どんな滞在ができるか」を表現した施設のコンセプト(キャッチフレーズ)だ。

 例えば、4月に開業するOMO7大阪なら「ほれてまうわ、なにわ」、OMO3札幌すすきのなら「幸せな夜更かし」、OMO3京都東寺は「心の時空トリップ」というような具合だ。

「心の時空トリップ」がコンセプトのOMO3京都東寺は、「まんだらアート」が出迎える
「幸せな夜更かし」がコンセプトの「OMO3札幌すすきの」は、電飾看板が印象的
OMO5小樽は昭和8年築の歴史的建造物を活用(元小樽商工会議所)。今までのOMOのイメージとは異なる趣き。日帰りの多い小樽で宿泊を増やすため食に力を入れる

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.