さて、総論としてCX-60は、深い見識で煮詰められた大人の仕立てのクルマになっている。角のよく取れた良いクルマだと思う。のだが、エンターテインメントの国、米国で、そこまで大人な仕立てでちゃんと客に分かってもらえるのかというところに少し不安を感じる。
ただ、マツダのエンジニアたちはこういうクルマを目指して開発し、そういうクルマができた。技術の未熟によってこういうクルマになったというよりは、思った通りにできているのであって、それが北米マーケット向けには地味過ぎたとすれば、問題は商品企画にあることになる。
違いが分かる大人のクルマとして売れる台数が、マツダの思う規模になるかどうかが勝負の分かれ目である。
今回のプーチンショックで、世界経済は恐らく一度深刻な不景気を潜ることになるだろう。それが吉と出るか凶と出るかだ。メルセデス、BMW、アウディの「ジャーマン3」のオーナー層が、出費を抑制しようと思った時に、マツダのラージ群が受け皿になることは考えられる。一方従来のマツダファンが、ステップアップしてラージへ移行するには厳しい情勢である。その差し引きは果たしてどう着地するのだろうか?
1965年神奈川県生まれ。1988年企画室ネコ(現ネコ・パブリッシング)入社。取次営業、自動車雑誌(カー・マガジン、オートメンテナンス、オートカー・ジャパン)の編集、イベント事業などを担当。2006年に退社後スパイス コミュニケーションズでビジネスニュースサイト「PRONWEB Watch」編集長に就任。2008年に退社。
以後、編集プロダクション、グラニテを設立し、クルマのメカニズムと開発思想や社会情勢の結びつきに着目して執筆活動を行う他、YouTubeチャンネル「全部クルマのハナシ」を運営。コメント欄やSNSなどで見かけた気に入った質問には、noteで回答も行っている。
- ロードスター990S 7年越しの回答
マツダのアイコンともいえるロードスター。マツダにとってはもちろんのこと、世界中のファンにとっても特別なクルマだ。2015年にデビューしたそのNDロードスターが大きく進化した。すでに評判はお聞き及びのことと思う。もはやちょっとしたお祭り騒ぎと言っても良い高評価である。一体何がどう変わったのか?
- 電動化とラージPFを両立する、マツダ新工場の「縦スイングと横スイング」
「xEV計画」と直6縦置きのラージプラットフォーム。これを進めていくためには、当然生産設備を大幅に改変しなくてはならない。普通ならば、従来設備を適宜改良して、xEVとラージに対応させるだけでいいのだが、マツダはこれを大きなチャンスに変えようと考えた。
- EV生産比率を5倍に増やすマツダと政府の“パワハラ”
マツダは、30年時点のEVの生産比率を25%と大幅に上方修正した。ではなぜマツダはそれだけEVの比率を大きく再発表したのかといえば、これは政府によるパワハラの疑いが濃厚である。
- マツダ初の「MX-30 EV」 姿を現したフルスペックのGVC
マツダMX-30にEVモデルが追加された。これがいろんな意味で非常に面白いクルマだったので考察してみたい。「これこそがマツダのEVへの回答」と受け止める向きもいるかもしれないが、それは半分だけ正解で半分は不正解だ。
- マツダの第6世代延命計画は成るか?
マツダはこのFRのラージプラットフォームの開発をやり直す決意をして、発表予定を1年遅らせた。ではその期間をどう戦うのか? マツダは第6世代に第7世代の一部構造を投入してレベルアップさせながらこの遅れ分をカバーしようとしている。キーとなるのが、17年に第6世代の最終モデルとして登場した、マツダ自身が6.5世代と呼ぶ2代目CX-5である。
- マツダMX-30で1800キロ走って見えたもの
そもそもMX-30に与えられた使命は、電動化の牽引役だ。年明けにはいよいよ国内でもEVが出る。これは以前プロトタイプに乗ったが、スーパーハンドリングマシーンと呼べる出来になるはずである。次の時代に向けた実験的取り組みは、全てこのMX-30がテストベッドになる。そのクルマの基礎素養がこれだけ好もしいものであったことで、期待は高まろうというものだ。
- マツダの決算 減収減益の中で好内容
マツダのオンライン決算発表が行われた。販売台数ダウン、減収減益という中で、決算内容そのものは課題だけでなく、光明が見えるものだった。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.