クルマはどう進化する? 新車から読み解く業界動向

マツダのラージPF、CX-60プロトタイプに乗る池田直渡「週刊モータージャーナル」(8/9 ページ)

» 2022年04月11日 07時30分 公開
[池田直渡ITmedia]

2.5リッターガソリン4気筒+PHV

 さて2.5リッターのガソリン4気筒+PHVのほうはどうかといえば、こちらのスペックはシステム合計でディーゼル以上である。エンジン出力、141kW(191ps)/6000。261Nm(26.6kgfm)/2400rpm。モーター出力129kW(175ps)/5500rpm。270Nm(27.5kgfm/4000rpm)。数値から予想される通り、加速は、当然のごとく6気筒ディーゼル以上で相当速い。これなら「濃い味好み」の北米マーケットでも十分期待に応えられるだろう。

 こと音質に関する限り、6気筒の奏でる音には敵うまいと思っていたら、こちらはこちらで高回転域ではレーシングエンジンのような炸裂感のあるエグゾーストノートで、これはこれで別種の赴きがある。まあ今時エンジンの音が良いとか書くと「アナクロニズムだ」と絡む人が出てくるかもしれないが、「音」は人の五感にとっては重要な要素で、総合的にみればそれは必要なものだとマツダは主張している。

 例えば恋愛映画のクライマックスシーンで、笑点のテーマが掛かったら人は感動できるだろうか? 無音であることの価値がないとはいわないが、人が能動的に機械をコントロールする場面に限っていえば「無音であることが良い」とは限らない。それは公共交通機関にパッセンジャーとして乗っている状態とは違う。人は五感を通じて外界とコミュニケーションを取りながら機械を操縦するのである。「今この機械は大きな出力を出している」ということを自然に五感でセンシングしておくことは重要なことだ。止まっている時も、0-100キロ加速を2秒台で行う時も全く変わることなく「無音」では、危険領域に無自覚に入ってしまうリスクを高める。

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