クルマはどう進化する? 新車から読み解く業界動向

マツダのラージPF、CX-60プロトタイプに乗る池田直渡「週刊モータージャーナル」(5/9 ページ)

» 2022年04月11日 07時30分 公開
[池田直渡ITmedia]

CX-60、インプレッション

 さて、当日筆者の試乗に供されたのは、3.3リッターディーゼル6気筒マイルドハイブリッドの3号車と2.5リッターガソリン4気筒PHVの4号車。そしてエンジニアとのディスカッション後に、もう一度確認で乗ったのはディーゼルの1号車だ。

 テストコースというか、美祢は元々がサーキットだったコースなので、広々としたスペースで、街で見た時の車両のサイズ感はピンとこない。数字的には、全長・全幅・全高が4742/1890/1691ミリ。お世辞にもコンパクトとはいえない。同じマツダのミドルサイズSUVであるCX-5が4575/1845/1690ミリなのと比べても、横幅の拡幅がかなりある。まあ昨今どんどん大型化するSUVの中では、凶悪とまではいえないというあたりだろう。

【訂正:4/11 13:00 CX-5の全長が誤っておりました。お詫びし訂正いたします。】

 エクステリアに関しては、ご覧の通りの偽装状態なので、発表された写真以上の印象は掴(つか)みにくいが、前輪とドアオープニングラインの間隔あたりにはFRらしさがちゃんと出ていて、エンジニアリング的必然性を感じるデザインだと思う。

 まずは3号車からだ。3.3リットル6気筒ディーゼルのマイルドハイブリッドである。珍しくスペックを書き出してみると、エンジン出力、187kW(254ps)/3750rpm。550Nm(56.1kgfm)/2400rpm。モーター出力12.4kW(17ps)/900rpm。153Nm(15.3kgfm)/200rpmとかなり強力なユニットである。

 乗り込むと、内装もまたがっちりガード済み、ディティールはよく分からないし、内装が表現する世界観もまた不明。しかも左ハンドルなので、国内モデルとは物理的レイアウトも異なるだろうが、ボディサイズもあって、空間的にはゆとりを感じる。少なくとも圧迫感はどこにもない。

 昨今のマツダのクルマなので、ドライビングポジションはグローバルで見てもベストの部類に入る。他社が手本にすべきレベルだと思う。もうひとつ特筆すべきはシートで、マツダ3の時、世界トップ級と評価したが、今回またそれが進化して、世界トップと言い切れるレベルに上がった。その差が何かと言えば、今度は「あの価格帯のクルマのシートでは」という言い訳が要らなくなったことだ。価格を問わず、無差別級で戦っても素晴らしい。シートだけでも価値がある。

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