さて、走り始める。トランスミッションは完全新設計で、マツダがトルコンレスATと呼ぶ新しい仕掛けになる。内容としては湿式多板電制のクラッチを使って、電子制御でクラッチミートして発進する。段数は8段。変速時にトルコンのスリップがないので、タイムラグがなくリズミカルにカツンカツンと変速する。首が揺すられるようなトルク変動のショックは無いが「いつの間に変速したのか分からない」というタイプではなく、むしろ昔のベンツのATのように小気味よく変速していくタイプである。
発進時にはモーターのアシストがあるはずだが、特にそれは感じない。違和感がない。電制クラッチのエンゲージからスムーズでトルキー。全域を通じて速いクルマという印象が強い。欧州のディーゼルのように蹴飛ばされるような馬鹿力感は感じないが、スムーズながらも十分以上に力強い加速が味わえる。普通の人なら十分以上の加速能力であり、まず不足を感じることはないだろう。
ちなみにこのCX-60の全体的な特徴として、インパクトの強い成分を極力排除して、ミネラルウォーターのような澄んだ味わいに整えられている。過ぎたるはなお及ばざるがごとしという言葉があるが、その言葉を実践するように、不快なレベルの過剰は丁寧に排除してある。クルマの全ての身ごなしがスムーズ。加速もまさにそういう印象だった。
エンジンの回転乗りはスムーズで気持ち良く、内燃機関らしさが色濃く与えられている。そして大排気量6気筒に期待するものがそこに明確にあって、回して楽しいエンジンでありながら、モーターのアシストまでもが加えられて低速も苦にすることなく、全域で抜かりない能力を発揮する。
- ロードスター990S 7年越しの回答
マツダのアイコンともいえるロードスター。マツダにとってはもちろんのこと、世界中のファンにとっても特別なクルマだ。2015年にデビューしたそのNDロードスターが大きく進化した。すでに評判はお聞き及びのことと思う。もはやちょっとしたお祭り騒ぎと言っても良い高評価である。一体何がどう変わったのか?
- 電動化とラージPFを両立する、マツダ新工場の「縦スイングと横スイング」
「xEV計画」と直6縦置きのラージプラットフォーム。これを進めていくためには、当然生産設備を大幅に改変しなくてはならない。普通ならば、従来設備を適宜改良して、xEVとラージに対応させるだけでいいのだが、マツダはこれを大きなチャンスに変えようと考えた。
- EV生産比率を5倍に増やすマツダと政府の“パワハラ”
マツダは、30年時点のEVの生産比率を25%と大幅に上方修正した。ではなぜマツダはそれだけEVの比率を大きく再発表したのかといえば、これは政府によるパワハラの疑いが濃厚である。
- マツダ初の「MX-30 EV」 姿を現したフルスペックのGVC
マツダMX-30にEVモデルが追加された。これがいろんな意味で非常に面白いクルマだったので考察してみたい。「これこそがマツダのEVへの回答」と受け止める向きもいるかもしれないが、それは半分だけ正解で半分は不正解だ。
- マツダの第6世代延命計画は成るか?
マツダはこのFRのラージプラットフォームの開発をやり直す決意をして、発表予定を1年遅らせた。ではその期間をどう戦うのか? マツダは第6世代に第7世代の一部構造を投入してレベルアップさせながらこの遅れ分をカバーしようとしている。キーとなるのが、17年に第6世代の最終モデルとして登場した、マツダ自身が6.5世代と呼ぶ2代目CX-5である。
- マツダMX-30で1800キロ走って見えたもの
そもそもMX-30に与えられた使命は、電動化の牽引役だ。年明けにはいよいよ国内でもEVが出る。これは以前プロトタイプに乗ったが、スーパーハンドリングマシーンと呼べる出来になるはずである。次の時代に向けた実験的取り組みは、全てこのMX-30がテストベッドになる。そのクルマの基礎素養がこれだけ好もしいものであったことで、期待は高まろうというものだ。
- マツダの決算 減収減益の中で好内容
マツダのオンライン決算発表が行われた。販売台数ダウン、減収減益という中で、決算内容そのものは課題だけでなく、光明が見えるものだった。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.