東京商工リサーチの調査によると、2021年度のラーメン店の倒産は全国で22件となった。前年度(36件)から比較すると38.8%減少し、過去10年で最少の倒産件数だった。同社は倒産減少の要因として、ゼロ・ゼロ融資や雇用調整助成金、持続化協力金などのコロナ関連支援、持ち帰りやデリバリー強化などを挙げている。
「日高屋」を展開するハイデイ日高(さいたま市)は、同社の取材に対し「遅い時間の動きはまだ鈍いが、感染者数が落ち着けば回復が期待できる」と回答。今期の大幅増収を見込んでいる。家系ラーメンの「町田商店」を展開するギフトホールディングス(東京都町田市)は、3月の国内直営既存店の売上高が前年同月比19.6%増と好調だ。
だが東京商工リサーチは、「感染者数の増加が落ち着いても、想定外の難しい局面が待ち受ける」と指摘する。感染者数が落ち着くとコロナ関連支援が縮小し、客足が戻らないラーメン店は「売上不振と支援縮小」の二重苦に追い込まれかねないからだ。
加えて、円安進行とロシアのウクライナ侵攻で、小麦など食材や原油、原材料が高騰。営業時間の短縮で隠れていた人手不足も、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の解除により顕在化し始めている。
同社は、「大型連休には夜遅い時間帯のお客争奪戦が激化するうえ、即席麺やカップ麺といった競合も存在する。コロナ禍で中断していた本当の生き残り競争が再び始まるだろう」と警鐘を鳴らしている。
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