「ゲーム」というと、私は世俗的にコンピュータゲームやボードゲームを連想する。そこでまずゲーム理論を踏まえておきたい。
ゲーム理論はゲームの参加者が「最も利点があり、最も欠点がない行動を取った結果がどうなるか」を分析する。遊びのゲームは「勝者」「敗者」「引き分け」があるけれども、ゲーム理論では参加者全員が最適な結果を選択する。そこには損得もあり公平ではないけれども「納得」もしくは「妥協点」がある。
もっと詳しく知りたい人はこちら。いくつか動画を観た中ではこれが分かりやすかった。
西九州新幹線の新鳥栖〜武雄温泉間の建設負担額について、ゲーム理論で考える。ゲームの参加者は国、長崎県、佐賀県だ。現時点の建設費用は6200億円だ。これは21年に政府与党PTが長崎県に対してヒアリングをしたときの資料で明らかになっている。このうち佐賀県の実質負担額は660億円という試算が19年に報じられた。
新鳥栖〜武雄温泉間の建設費用は6200億円。JR九州からの貸付料を充当し、残りを国と自治体が2対1の割合で負担する。ただし自治体の負担には地方交付税が充当されるため、実質的な負担額は約半分。これが660億円になる(出典:長崎県、新鳥栖・武雄温泉間の整備のあり方について)この660億円という数字はゲーム理論が導き出した582億円より高い。国としてはかなり譲歩したけれども、理論上は佐賀県を納得させる数値ではないということだ。
新鳥栖〜武雄温泉間は佐賀県内であり、従来の枠組みは新幹線建設距離に応じた負担が原則だから、長崎県の負担はゼロ。しかし長崎県に便益がないはずがない。だから長崎県にもゲームに参加してもらう。一方、自県に利点はほとんどないと主張する佐賀県についても、他県から新幹線で来訪する人々からの経済効果はある。相応の負担を求められる。国は全国新幹線網の完成により国益を得るから、最も利得が大きい。
したがって、ゲームの参加者は西九州新幹線フル規格完成で利点のある国、長崎県、佐賀県である。この3者が便益額と負担額を比較して、それぞれが納得できる分担額を求める。
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