宏光MINIを意識してリリースしたもの、月間販売台数が3ケタにとどまる車種もある。
中国三大国営メーカーの一角で、日産自動車とも合弁企業を展開する東風汽車は今年3月、傘下ブランドから「風光 MINI EV」を発売した。価格は3万2600元(約61万円)からで、航続距離は120〜180キロ。細かい仕様は違うが、車種名といいデザインといい宏光MINIを連想しない人はいない。
風光 MINIは1月から先行販売を始め、最初は売れ行き好調だったが、右肩下がりで数字を落とし、5月の販売台数は784台にとどまっている。宏光 MINIと似すぎているだけでなく、QQ 氷淇淋という選択肢もあり、消費者に訴求できていないようだ。
ほかにも複数の大手メーカーが格安EVを発売している。宏光 MINIの大成功を見ても市場のポテンシャルの大きさは明らかで、参入しない選択肢はない。
一方で、デザインや性能で消費者に差別化を示すのは非常に難しく、宏光MINIよりも安くて性能がいい商品を出せば、利益が取れない。
スマートフォンを生み出したアップルのように、新しく創り出したマーケットだからこそ先行者有利もはっきりしているといえよう。
早稲田大学政治経済学部卒。西日本新聞社を経て、中国・大連に国費博士留学および少数民族向けの大学で講師。2016年夏以降東京で、執筆、翻訳、教育などを行う。法政大学MBA兼任講師(コミュニケーション・マネジメント)。帰国して日本語教師と通訳案内士の資格も取得。
最新刊は、「新型コロナ VS 中国14億人」(小学館新書)。twitter:sanadi37。
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