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「全員70歳まで雇用は難しい」──改正高齢法から1年、明らかになる企業のホンネ改正高齢法の実情は(2/4 ページ)

» 2022年07月05日 07時00分 公開
[溝上憲文ITmedia]

「努力義務」を理由に、検討は進まず

 実際に経団連が20年8〜9月に調査した70歳までの就業確保措置の取り組み状況によると、具体的な対応を決定済と答えた企業はわずかに9.1%。「対応について検討中」が43.3%、「まだ検討していない」が43.3%となっていた(「2020年人事・労務に関するトップ・マネジメント調査結果」21年1月19日)。

 本格的に検討が進んだのは21年4月の法律の施行以降だ。経団連が21年9〜11月に実施した同じ調査によると、「対応済」が21.5%、「対応を検討中」29.5%、「検討予定」38.6%、「検討していない」10.4%となっている。前年に比べて対応済企業が増加し、検討中・検討予定も増えているが、法律が施行されても「対応済」が少ないのは「努力義務だから」が大きな理由だ。できれば70歳まで雇用したくないという企業の思いが透けて見えるようだ。

 「対応済」「検討中」の企業の具体的な措置内容(複数回答)では「定年引上げ」「定年廃止」は3%前後と低いが、「継続雇用制度の導入(自社・グループ)」が94.3%と最も多くなっている。

 新たに設けられた選択肢では「他社での継続雇用制度の導入」が11.4%、創業支援措置の「業務委託契約を締結する制度」が18.7%。非雇用の業務委託契約を選択肢とする企業も少なくない。

 社会貢献事業では「事業主自らが実施する社会貢献事業に従事できる制度」が3.6%、「事業主が委託、出資する団体が実施する社会貢献事業に従事できる制度」は4.7%と、いずれも低率にとどまっている。

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