同社がなぜ投票用紙を手掛けることになったのか。それを語るには、同社の成立過程と、合成紙を手掛けるに至った時代背景に触れておく必要がある。
時は60年代にまで遡る。68年、科学技術庁(現在の文部科学省)が消費増による森林資源枯渇への危機感と、石油化学の勃興を背景に「合成紙産業育成に関する勧告」 を発表。勧告には天然紙の代替として安価な石油資源から製造する「合成紙」の重要性が提言されており、10年後の78年には紙需要推定1600万トン(当時)のうち、合成紙が約350万トンに占めると予測されていた。
このため、石油化学や紙パルプ、繊維など関連業界から20社以上が続々と参画。合成紙の製品化に向けた研究が業界内で一大ブームとなった。ユポ・コーポレーションの前身である、三菱油化(現三菱ケミカル)と王子製紙(現王子ホールディングス)もそうした企業の1つだった。
各社で合成紙研究が進む中、69年5月、石油化学系合成紙の企業化を目的に、2社が折半出資し、合弁会社の王子油化合成紙研究所(現ユポ・コーポレーション)を設立。その直後、日本の合成紙に関する特許第1号を取得した三菱油化の技術をベースにした合成紙「FPペーパー」が完成し、一躍注目を集めた。
工場の建設など量産化に向けた準備を整え、71年にはブランド名を社員やその家族から募集。作家の小松左京氏や星新一氏ら選考委員の選考の結果、3000通の応募の中から、社員が考案した「ユポ」が採用された。ユポ(YUPO)には三菱油化(「YU」)と王子製紙(「O」)を、「Paper」(紙)で結びつけるという意味が込められているという。
海外の製紙メーカーと提携し、米国輸出を進める最中、74年10月、第四次中東戦争による、第1次オイルショックが発生した。合成紙は原料に石油由来の化学原料を使うことから、原材料価格や生産コストが高騰。採算性悪化で競合各社が事業からの撤退を次々に表明した。
王子油化も大打撃を受け、一気に「冬の時代」を迎えた。「当時は新聞紙を合成紙で代替するという動きもあった」(鹿野部長)というが、そうした構想も夢物語となった。
とはいえ、残された社員とその家族のため、事業を継続しなければならない。当初は政府方針によって、紙の代替として研究開発が始まった合成紙だったが、オイルショックでコストが上昇。紙との競争力を失ったことから、同社はユポの機能性を生かした事業方針に転換する。
プラスチックであることから水に強く、破れにくい特徴を持つユポ。その特徴を生かせる業界を探した。当時は技術的にユポへの印刷が難しかったため、専用インクも開発し、山など屋外で使う地図などに徐々に採用されるようになった。紙よりも繊維が長く、折れにくいという特性もあったため、屋外での利用に向いていたのだ。
だが、最初の10年ほどは赤字続きで、鹿野部長は「仕事がなく、暇だったので工場周辺の草むしりをしていたと聞いている」と当時の状況を明かす。
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