分類機を手掛けるムサシは、1946年創業。元々は紙・加工品を販売していたが、徐々に事業範囲を広げ、65年に紙幣の枚数を計測する「紙幣計数機」を発売した。手動で紙幣枚数を数えるのが当たり前だった金融機関の業務効率化のために開発したが、公営競技(公営ギャンブル)も早くからムサシ製機器に注目。各地で導入が進んだ。
公営競技は自治体が運営していることが多い。例えば、大井競馬場(東京都品川区)を保有する東京都競馬は、東京都や23区が出資し、運営している。公営競技と自治体とのつながりから、ある自治体の選挙管理委員会がムサシに「投票用紙の計測に転用できないか」と打診。70年に国内初の「投票用紙計数機」を開発し、選挙事業に参入した。
5年後には、投票用紙を正確に交付する「投票用紙交付機」を計数機同様、国内で初めて製品化するなど、同社は長く選挙機器メーカーのリーディングカンパニーとして、順調に業績を伸ばしていた。
そうした中、公職選挙法が改正を受け政府は、2001年の参院選から有権者が候補者名または政党名を記入する「非拘束名簿式」を導入。新制度に合わせて、以前から手作業での開票に課題を感じていた同社は、分類機の開発に着手した。
分類機には読み取り精度に加え、内部で投票用紙が詰まらないようにする仕組みも求められた。分類機が故障で停止すると、開票作業に大きな支障が出るからだ。投票時の投票用紙の状態もさまざま。折りたたまずにそのまま投票箱に入れる有権者もいれば、おみくじのように小さく折りたたむ有権者も一部存在する。状態に関わらず、正確に計測できるよう、内部機構に工夫を施し、4〜5年の開発期間をかけて、01年の参院選に間に合わせた。
同社は専門商社として国内外のスキャナーを取り扱っており、当時としては珍しい、紙文書をデジタル化する事業も展開していた。分類機のコア技術とも呼べるOCRは、そうした事業から転用したという。
01年の初号機に続き、10年には2世代目を発売。これまでに累計4500台を販売し、全自治体への自社調査では、業界シェア率80%を記録している。同社が推奨するパッケージでは1台約690万円で、自治体規模に応じて備品をカスタマイズするというスタイルだ。
導入した自治体からは「人で開票するよりも早く、正確になった」などの声が出ており、評価も上々。コロナ禍で感染対策の一環として、開票時間短縮へのニーズが高まり、導入自治体も増加中。現在もDBを頻繁に更新し、OCRの精度を日々高めている。
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