ミクシィは2022年4月、従業員の生産性を最大化することを目的にリモートワークとオフィスワークを融合した働き方「マーブルワークスタイル」制度を正式導入した。同社が同制度の試験運用を開始したのは20年の7月。オフィスでの就業を基本としつつ、週3日までのリモートワークを認めるとともに、午前10時から午後3時までだったフレックスタイム制のコアタイムを正午から午後3時までに短縮した。
それから1年9カ月後の22年4月に正式採用となったマーブルワークスタイル制度だが、導入に際しては、試験運用の検証結果を基に週当たりの出社回数を部署ごとに決められるように変更。週5日のフルリモート勤務も可能とした。また通勤にかかる交通費も電車・バス通勤を前提とした定期代の支給をやめ、飛行機や新幹線、フェリーなどの料金も含めて月当たり最大15万円の実費支給に変更している。
マーブルワークスタイル制度導入から3カ月後の22年7月、ミクシィが正社員・契約社員・アルバイトを対象に実施したアンケート(有効回答数348)では、約85.6%がマーブルワークスタイル制度下での働き方に満足していることが分かった。またリモートワークの生産性という面でもマーブルワークスタイルのデメリットはないという。
そもそもミクシィが“より柔軟な働き方”を目指した背景には、従業員のライフステージが多様化してきたことがある。ミクシィがイー・マーキュリーとして設立されたのは1999年。当時は求人情報サイト「Find Job!」の運営が基幹事業だったが、事業の拡大とともに従業員数は約4倍になり、平均年齢も5歳ほど上がった。それにともない出産や育児、介護など、さまざまなライフステージに対応できる働き方が求められるようになったわけだ。
マーブルワークスタイルの成果と課題を先述のアンケート結果から見ていこう。
まず「所属する部署の現在の出社ルールと平均出社回数(週)」を見ると、「週1出社または出社推奨」が35.9%で最多となり、「原則出社」は1.7%にとどまった。もちろん、業務内容によって出社したほうが生産性が上がる部署と、在宅勤務でも影響の出にくい部署があり、エンジニアやデザイナーなどの技術職ではフルリモートの割合が高くなる傾向にある。
一方で従業員の「オフィス出社回数(週)」は「週1〜2回」が55.4%を占めており、約85%が週当たり最低1回は出社していることが分かった。とはいえ「フルリモート可」の部署が30.2%存在するにもかかわらず、実際にフルリモートで就業している従業員は14.1%と、出社ルールとの乖離が見られる。
フルリモート勤務が認められているにもかかわらず、あえて出社する理由は「オフィス出社を選択する理由」への回答からうかがい知れる。理由として最も多かったのは「コミュニケーションが取りやすいため」で、全体の44.8%(複数回答)。「オフィスでしかできない業務がある」(27.6%)、「オフィスのほうが環境が整っている」(26.4%)を大きく上回った。
約半数の従業員が、情報共有や業務内外のコミュニケーションを目的としてオフィスワークを選択しているわけだが、逆を言えば、そうしたコミュニケーションがマーブルワークスタイル制度の課題とも考えられる。
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