みずほ銀行とKDDIの共通点として、3社合併でかつ主導権者なき組織であることが挙げられます。みずほ銀行は、富士銀行、第一勧業銀行、日本興業銀行の3行が、KDDIは国際電信電話(KDD)、第二電電(DDI)、日本移動通信(IDO)の3社が、それぞれ合併して出来上がった合併企業です。
このうち、KDDIは実質的には合併前3社の母体となっているトヨタ自動車(KDD=民営化時にトヨタが資本算入、IDO=トヨタ系携帯事業)と京セラ(DDI=京セラ系携帯事業)2社の寄り合い所帯であると言っていいでしょう。資本的には持株比率で京セラが若干上回っていますが、実質対等合併です。
寄り合い所帯ゆえに勘定系システムの統合に失敗した、みずほ銀行の例が最も分かりやすい事例といえるでしょう。三菱UFJ銀行が日本IBM、三井住友銀行がNECと、合併に伴い各行の勘定系システムをそれぞれ統合し「シングルベンダー」体制に移行したのに対し、みずほ銀は合併前の各行のシステムの流れをくむ富士通(第一勧銀)、日立製作所(興銀)、日本IBM(富士銀)に、NTTデータを加えた4社からなる「マルチベンダー」を採用しました。
それぞれにメリット・デメリットはありますが、異なるベンダーのシステムを共存させていることから、みずほ銀でシステム障害が多発する要因に、構造が複雑なマルチベンダーを指摘する声は少なくありません。みずほ銀に関しては、こうしたところを見ても、他行と比較して決断力の弱さが出ているといえるでしょう。
2社合併でも3社合併でも確固たる主導権者なき合併は、経営のリーダーシップが弱く、平時には大きな問題はないのですが、有事になるとその弱さが如実に現れます。有事には平時とは比べ物にならない経営の決断力、けん引力が求められるわけで、これが弱いと対応の緩さや甘さが出てさまざまな弊害を生むことになるのです。
同時に、自社の決断力、けん引力が弱ければ、外部の権威者に忖度する傾向が強くなり、結果的に監督官庁や政治的な力に動かされやすい状況に陥りがちにもなります。これが、今回のKDDIが「政府=監督官庁」に振り回され、顧客対応のまずさに至った大きな落とし穴であったと思われるのです。
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