このように一連のKDDIの事故対応を洗ってみると、事故対応のまずさという点で最近時どこかで似た出来事があったと思い当たるものがあります。それは、2021年に起きたみずほ銀行の大規模システム障害の対応です。
当時、最も批判を浴びたのは、障害そのもの以上にみずほ銀行の顧客対応の遅さ、まずさでした。それでありながら、同行は過去のシステム障害発生時も含め「政府=監督者」のご機嫌うかがい対応には余念がない、と揶揄(やゆ)されてもいました。
監督官庁の金融庁からも21年11月の行政処分に際し「言うべきことを言わない、言われたことしかしない」と、その組織風土を問題視するコメントまで出される始末だったのです。
今回のKDDIも官邸、総務省からの要望に応えるべく、根拠のない復旧見通し情報を度々流し、あるいは新たな障害発生の公表が遅く、むしろ利用者を困惑させる結果となりました。
最高責任者の社長は技術説明に長けたその会見が一部で絶賛されましたが、障害復旧を第一に考えて行動するのであれば、有事における不測の対応に対する最終決裁権者として現場指揮を優先し、原因判明前の経過説明会見はナンバー2以下に任せるという選択肢も必要だったかもしれません。
こうした「政府=監督者」のご機嫌うかがい優先姿勢は、みずほ銀行のそれと同じものを感じさせます。業界は異なれども、危機対応姿勢に見える組織風土には同じ匂いを感じるのです。
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