HYDEが“兄貴”と慕う「画狂人 井上文太」が画集を出版 「承認欲求を捨てないとアーティストは成功しない」先行販売で異例の売り上げ(3/5 ページ)

» 2022年08月22日 11時12分 公開
[今野大一ITmedia]
※本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

縮小する美術市場 世界に発信する上での課題

 井上さんは先述の代表作「Light Wave」などによって世界の市場に認められてきた。今後も、国内だけでなく、世界に向けて自らの芸術を意欲的に発信していきたいという。

photo 光 -Shining Ocean -2022など

 世界で日本のアートが持つプレゼンスはどの程度なのか。「日本のアート産業に関する市場調査2021(主催:アート東京、制作:エートーキョー)」を見ると、日本全体の美術品市場の規模は2186億円と推計されている。前年から7%減少していて、縮小している状況だ。世界の美術品市場における日本の割合を見ても、世界の市場規模が5.2兆円に対し、日本は1929億円で、わずか3.7%にすぎない

photo 日本全体の美術品市場の規模は2186億円と推計(プレスリリースより)
photo 世界の市場規模が5.2兆円に対し、日本の割合は1929億円で3.7%にすぎない(プレスリリースより)

 日本が世界のアート産業で上を目指すには、いったい何が必要なのか。井上さんに聞いてみた。 

 「芸術の目的は、その国の文化と個性を出すことなんです。僕は国に個性がないと、海外から見たときに、魅力的な国にはならないと思います。ですから、個性を大切にできる審美眼を持った政府の人や有識者、パトロンがいないといけない。

 このままでは、才能ある日本のアーティストが、海外に持っていかれるか、出ていってしまうと思いますよ。そうなると何とか売れるために有力者やスポンサーの言いなりになるしかないアーティストだけになってしまう。僕が、絵をうまくなりたい理由は人と出会い、いろんな世界を見たいからなんです。筆一本で、世界の人たちと交流を深めていきたいですし、海外の文化をもっと勉強して、日本人の解釈によって世界の文化を伝え続けていきたい」

photo 「個性を大切にできる審美眼を持った政府の人や有識者、パトロンがいないといけない」と語る井上さん
photo FLOWER
photo 幸運の White cat

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.