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比類なきパナソニック起業制度 よくある社内ベンチャー募集と何が違うのか本田雅一の時事想々(3/5 ページ)

» 2022年09月06日 07時00分 公開
[本田雅一ITmedia]

“ケア家電”への挑戦 カーブインまでのシナリオは

 BeeEdgeでは、チョコレートドリンクマシンの「ミツバチプロダクツ」、歩行訓練器を開発する「ことほ」などいくつかのスタートアップが生まれている。

チョコレートドリンクマシンの「ミツバチプロダクツ」(画像提供:BeeEdge)

【編集履歴:2022年9月8日午後1時45分 初出時「ミツバチプロダクツ」の名称に誤字があったため修正いたしました】

 その中でも今年4月に発表された「ギフモ」への増資(パナソニックとBeeEdge合計2.5億円)は、将来的にパナソニックへのカーブイン(再編入)も意識したものだという。

 ギフモは料理の見た目や味をそのままに、野菜や肉を歯でほとんど咀嚼(そしゃく)しなくても食べられるぐらいに柔らかくする「デリソフター」という商品を開発するBeeEdge発のハードウェアスタートアップだ。

デリソフター(画像提供:BeeEdge)

 介護が必要な老人を抱える主婦の仕事を軽くするために成熟させてきた技術と製品だが「デリソフター自身も高齢者の生活水準を高めるための新しい製品だが、そこから派生して“ケア家電”という製品ジャンルに発展する可能性を秘めている(春田氏)」と話す。

 老人介護向けのケア家電は、なかなか大企業本体では踏み込んでいくことが難しい領域だ。例えば、歩行支援などに踏み込んでいく場合、事故が起きる可能性などを精査していると事業化が思うように進まない。

デリソフターの調理例(画像は公式サイトより)

 パナソニックの外でチャレンジしながらケア家電のジャンルを開拓していくことで、現在あるパナソニックの事業へと再度組み込むシナリオも見えてくる。

 パナソニックは在宅ケアやサービス付き高齢者向け住宅、有料老人ホームなどのビジネスを「エイジフリー」というブランドでおこなっているが、こうした事業と関連づけ、自宅で介護する家族をサポートするコンシューマー家電というジャンルにつなげるというストーリーだ。

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