ロシアに課せられた経済制裁並以上の円安が日本の家計を襲っている。
6日の東京外国為替市場では、ドル円相場が1998年以来最安となる、1ドル145円をつけた。2021年の初頭は、103円あれば1ドルを得られたが、今では145円払わなければ1ドルを得られない。つまり、ここ一年半ほどで、日本円の価値はドルに対して40%ほど下落したことになる。
今年に経済制裁が行われ、暴落したロシアルーブルの下落率は31%程度だった。そして今では制裁前以上のレートよりも高値で取引されている。日本円の4割下落はまさに「経済制裁並み」どころか、それ以上に酷(ひど)いものになっているといっても過言ではないかもしれない。
ドル円のレート上では、「103円から145円へ」といった具合に、円“安”という言葉に反して価格が上昇してみえる。したがって、この度の円安もなんだか景気の良い話に聞こえるかもしれない。
しかし、日本円の価値が対ドルで4割近くも下落したということはつまり、あなたの保有している資産や毎月の給与の価値も、それだけ安くなっているということだ。そう考えると急激な円安は、資産や収入にとってダメージを与えるイベントであるととらえることもできる。
図は21年以降の「円ドル」チャートだ。これは、今年に入ってからの家や預金、給与の“価値”がどのような推移を辿(たど)ったかを表している。
1ドル103円の時の年収400万円と、1ドル145円の時の年収400万円では、全くその価値は変わってくる。前者では3万8800ドルの価値があるが、後者は2万7586ドルの価値しかないのだ。
このような急速な円安は、食料品をはじめとした、輸入品を大きく値上がりさせる。しかし、あまり報道されていないが、今後は国内で展開されているはずのドメスティックなサービス等にも「為替要因の値上げ」が襲ってくる可能性が高い。
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