古田 文葉さんはゼロワンブースターでSAAIのようなカオスを生み出すためのコミュニティーづくりをしているわけですが、新たなビジネスが始まるためのポイントはどんなところですか?
ブランスクム 場があるだけでは難しくて、そこにいかに熱量のある人を呼び込んで継続させるかが大事だと思います。SAAIは多様な方々を受け入れてネットワークをつないできたんですけど、その中に、ちょっと先のフェーズに進んだ先輩がいてくれると、その熱量の高い人たちに引っ張られて成長していくんですよね。
仲良しクラブではなく、お互いに「何かやらなきゃ」って勝手にプレッシャーを感じて一緒に成長する、そんな場をつくっていくことが、とても大事だと思っています。
古田 山本さんのやっている各地域のプロデューサーをつなげる活動も、地域の中では他にもうやることがないような人たちにとっては刺激になっているんじゃないですか?
山本 そうですね。一つの地域の中でやっていくことには限界があるし評価も一定だけど、全国でつながれば、お互いに刺激し合って新たなバリューをつくることができます。
古田 閉鎖的なコミュニティーだと、価値観がどうしてもヒエラルキー的になってくる。上場したからすごいとか、何店舗もやっているから偉いとか。でも、本来は異質なものと出合うことの方がすごく重要な気がする。
山本 そういう意味で言うと、僕らの場合、売上至上主義ではないプロジェクトが多かったりします。もちろん売上や利益は大事ですが、それをスケールさせることをあまり求めずに、持続可能性であったり、面白さだったり、あるいは新たな価値への再投資を狙うなど、違う評価軸のものが多くなっている気はしますね。
古田 時代が変わる時というのは、必ず多様な評価軸が出てくるもので、だからこそ異質なものと付き合うことが大事になる。吉川さんの会社でも、「グリーンの会社がこんなことやるの?」というようなプロジェクトをいろいろとやっていますよね。例えば「SLIT PARK(スリットパーク)」とか。
吉川 このビル(新有楽町ビル)の隣にある新国際ビルの路地を森にして、毎夜DJが音楽をガンガンかけまくっています。これ、渋谷じゃなくてこういうオフィス街でやるからいいんです。異質なものが共存しているから面白い。
ブランスクム このビルの1階に「ソノアイダ」という、空き物件を活用したアートプロジェクトがあるんですけど、そこでこの前、絵を買ったんです。今までアートとか全く興味がなかったんですが、ソノアイダではアーティストさんが絵の解説をしてくれたり、制作過程を見せてくれたりして、違う言語を手に入れた感じなんです。しかも、その制作過程が何か事業を起こす過程に似ているんですよ。めちゃくちゃ面白いなと思って。
吉川 そういう異質なもの同士の出合いが面白いんです。だから、コミュニティーをつくっても、うまくいき出すと面白くないので、“災い”を起こしたくなるんですよね。
古田秘馬(ふるた・ひま) umari代表取締役/プロジェクトデザイナー。慶應義塾大学中退。東京・丸の内「丸の内朝大学」などの数多くの地域プロデュース・企業ブランディングなどを手掛ける。農業実験レストラン「六本木農園」や讃岐うどん文化を伝える宿「UDON HOUSE」など都市と地域、日本と海外をつなぐ仕組みづくりを行う。現在は地域や社会的変革の起業に投資をしたり、WILLER 株式会社やCAMPFIRE、自然電力株式会社などの顧問ほか、医療法人の理事などを兼任
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