古田 SLIT PARKが面白いのは、どこにも所属していない場所だから、みんながフラットに話せるところ。進化って、そういうどこにも所属していない場所から生まれるんですよね。明治維新で言えば、治外法権だった出島とかね。
で、このエリアでは、SAAIも現代の出島のような場所の一つだと思う。それと、吉川さんがやっぱり素晴らしいと思うのは、SLIT PARKに入れた植木って、全部倉庫の中にあった在庫を展示しているだけだっていう。
吉川 あの植木は売り物なんです。普通、森をつくろうと思ったら、固定化しようとしますけど、そうではなくて、人の来る状況や求められるものによって随時変えればいいじゃないですか。ボーダーレスって、要は瞬時に変えられる場所であり、企業体であり、システムでないといけない。
だから、建築物って一番ダメなんですよ、即座に変えられないから。そうじゃなくて、適当にやって、状況に合わせて緩やかに変えていく。決めないことがすごい大事。
古田 多分、吉川さんが何をボーダーレスにしているかというと、ハードではなくてコンテクストなんです。植木の話でいえば、物質的には変わっていない。でも、倉庫の中にあると在庫だったものが、SLIT PARKのような場所に置いた瞬間に、オブジェにも展示された商品にもなる。
そんなふうに、コンテクストをボーダーレスに変えられるかがクリエイティブのポイントでしょう。
山本桂司(やまもと・けいじ) インターローカルパートナーズ代表取締役。都市で生活することに楽しみが見いだせず大学卒業後、地方へ移住。 愛媛県今治市のタオル美術館キュレーターを経て、山口県長門市の地域商社「ながと物産合同会社」の販売戦略プロデューサーとして一次産業支援や道の駅「センザキッチン」の立ち上げに携わる。三菱地所が先導する多機能型市場「有楽町micro FOOD & IDEA MARKET」の運営を行う。東北地域の食産業における課題解決を図る新たなビジネスプラットフォーム、一般社団法人東北絆テーブルの理事も兼任
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