横須賀市で旅客船運航事業などを行うトライアングル社は、さまざまな観光スポットへの運航事業を手掛けている。同社の主な事業は、「YOKOSUKA軍港めぐり」、無人島・猿島へ渡る「猿島航路」「浦賀の渡し」 「第二海堡上陸見学クルーズ」など、地域の魅力を伝える観光事業だ。その他、世界三大記念艦「三笠」なども含め、横須賀市には独自の観光スポットがある。
そんな観光資源を有する横須賀市にとって、美術館に来場した人も含めて、いかにして市内を周遊してもらうかが課題となっていた。
今回の運慶展では、三浦一族とゆかりのある衣笠地区と連携することによって、観光客の呼び込みを図った。同地区の衣笠城址(きぬがさじょうし)周辺には、満昌寺や近殿神社、薬王寺旧跡、清雲寺などの観光スポットがある。
横須賀市は、この衣笠地区の商店街に補助金を出した。そのため、運慶展のチケットの半券を持って商店街を訪れた人に対し、各店が独自にサービスをするなど美術館からの誘客を図る取り組みがあったという。
横須賀市と衣笠観光協会が実施したアンケート調査をみると、運慶展と市の周遊を生み出したことが分かる。衣笠商店街を訪れた173人に「運慶展に行きましたか?」と質問すると、33%が「行った」と回答した。まだ運慶展を訪れていない人に「これから行きたいか」と聞くと、50%が「行きたい」と答えている。合計で8割以上の人が、美術館への興味を喚起されたということだ。倉林部長は言う。
「いろいろな経済効果はこれから測定していくことになりますが、市外から来場した方も多くいらっしゃいました。同時に市民の地元への関心も喚起できたと考えております。運慶の重要文化財が横須賀市にあることを知らなかった市民もいたかと思います」(倉林部長)
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