定年退職後に嘱託社員として再雇用 賃金50%カットの妥当性は?裁判例を紹介(4/4 ページ)

» 2022年10月27日 07時30分 公開
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今後の高齢者雇用の在り方

 厚生労働省が発表した「令和2年 高年齢者の雇用状況」によると99.9%の会社で65歳までの雇用確保措置を整備できており、18.4%が定年を65歳まで引き上げています。

 さらに老齢年金については、1961年4月2日以降に生まれた男性は65歳まで支給されず、高年齢雇用継続給付の給付率については、現行の15%が2025年4月1日より10%に縮小され、将来的には廃止となる予定です。

 これらを踏まえると、そもそも定年が60歳であることが不自然な状況のように思えます。よって、将来的な流れとしては定年年齢が65歳以上、雇用確保義務が70歳以上に引き上げられることになるでしょう。

 それを見越すと60歳以降の賃金をどう抑えるかという消極的な発想でなく、60代の労働者について、いかに現役当時と変わらず戦力として活躍してもらうかという積極的な方針に転換する必要があります。法改正が行われる前に助成金を活用して前倒しで定年を引き上げ、優秀な60代を積極的に採用するという選択も業種によっては可能でしょう。

65歳を超えた社員を継続的に雇用する場合に助成金が支給される(画像:令和4年度 65歳超雇用促進助成金のご案内)

 一方で、組織の活性化についても考える必要があり、役職定年を導入するなど若手のチャンスを減らさない工夫も求められます。3年後、5年後の会社から見た理想とする組織図や必要な人員構成を想定しながら、自社に合った高齢者雇用の在り方を検討できるとよいでしょう。

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