クルマはどう進化する? 新車から読み解く業界動向

クルマの「燃料」はどうすればいいのか 脱炭素の未来池田直渡「週刊モータージャーナル」(4/6 ページ)

» 2022年10月31日 08時00分 公開
[池田直渡ITmedia]

再生可能エネルギーにおいても資源小国

 わが国での太陽光発電への期待というのは、エネルギー自給率への貢献という部分が大きい。しかし実はすでに日本は平地面積当たりの発電量では世界トップ。再生可能エネルギーでの発電量そのものでも、世界第6位である。やってないどころか十分以上に健闘しており、そろそろ常識的な平地の設置場所が限界になりつつある。建物の上に場所があるなどという弥縫策(びほうさく)を言い出すのなら一度ちゃんと計算してからにしてほしい。その方式だとどうしても蓄電池が必要になる。

 日本の1年間の電力使用量は9000億kWhから、1兆kWh。1兆とすると365日で割ると27.4億kWh。仮に1日分を貯められるバッテリーを用意するとして、1KWhあたりのバッテリーコストを1万円とするなら27.4兆円かかる。国家予算の約4分の1くらい。

 で、バッテリーには寿命があるので、何年かに一度掛かることになる。まあ現実的ではない。日本は再生可能エネルギーにおいても資源小国なのだ。まずはそれを認めよう。

 ここでそもそもの話をすると、人が住む地域はだいたいにおいて太陽光発電に向かない。文明の開化地が例外なく大河の流域であるように、人は水のある場所に住む。そしてそういう地域は当然一定の降水量があるのだ。

 太陽光発電の理想的な気候は、低緯度地域で太陽光の角度が良く、かつ降雨量が少なく1年を通じてずっと陽が当たることが望ましい。そういう意味では都市に近い場所は大体条件が悪いのだが、一方で電気の消費地は大都市でもある。そこに問題の核が潜んでいる。

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