クルマはどう進化する? 新車から読み解く業界動向

クルマの「燃料」はどうすればいいのか 脱炭素の未来池田直渡「週刊モータージャーナル」(5/6 ページ)

» 2022年10月31日 08時00分 公開
[池田直渡ITmedia]

太陽光発電の理想的な気候

 気象庁が発表している図をご覧いただきたい。欧州もアジアも米国の東海岸も太陽光発電にまったく向いていない。それでも欧州は年平均500ミリ程度の降雨量の地域があるが、日本に至っては2000ミリレベルで、こんな土地で世界と太陽光発電で戦おうとするのがそもそも間違っている。

日本は降水量が多いので、太陽光発電に向いていない(出典:気象庁)

 逆に言えば、赤道を挟んで、アフリカや中東、オーストラリアあたりは太陽光発電にとって夢のような条件である。降雨量100ミリ以下がズラリと並び、オーストラリアあたりでも年間300ミリ以下である。だから、これらのエリアに新時代の産油国をつくるべきなのだ。

 人も住んでいないような沙漠に太陽光パネルを並べて発電し、それをプラントで水素化、必要ならさらにe-fuelにすれば良い。日本国内でも発電量が余ったときには水素やe-fuelをつくれば良いという声を聞くが、そんな不安定な稼働率で化学プラントが商業的に成り立つ可能性は極めて低い。

 電気のまま持って来たくても、さすがにオーストラリアから日本まで電線は引けない。金もかかるし減衰もかなりのことになるだろう。だったら、水素か  e-fuelの形にして、保存、輸送したほうが良い。

 無尽蔵の太陽光が得られるエリアでカーボンニュートラルな再生可能エネルギーを使う前提なら、余分に発電して、その電力で水素もe-fuelもつくれるだろう。

 水素は保存と輸送にも問題が多いので、筆者的にはe-fuelのほうが有利だと思う。ガソリンのインフラが全てそのまま生かせるからだ。それはエンジンそのものも例外ではない。そして、完全にカーボンニュートラルでもある。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.