JTの株価は、株主優待の廃止を発表した直後こそ下落したが、その後は配当利回りが向上することを好感して買いが入り、優待廃止を告知以降につけた底値から40%以上も株価が上昇している。JTではこれまで自社傘下であるテーブルマークの冷凍うどんやパックごはんを中心に、換金性は低いが個人投資家には人気の優待品を届けていた。大口の機関投資家にとって、換金性の低い優待は運用資産に組み入れられなかったことから、これを配当金に集約することで、大口の機関投資家が納得してJTの株式を購入できるようになったといえるのではないか。
ここまでの事情を勘案すると、企業にとっては株主優待を廃止して配当に集約することが求められているようにも思えるが、株主優待のメリットにも注目しておきたい。例えば、「株価の下支え効果」は強力なメリットだ。
最も有名な例といえば、15年ごろ経営危機にひんした日本マクドナルドホールディングス(HD)の株価動向だろう。同社は、14年から15年にかけて、鶏肉の食品偽装や、ビニール片のような異物混入問題が相次いで報じられた。その結果、14年12月期の最終益は218億円の赤字と、通期としては11年ぶりの赤字に転落。翌15年12月期には上場来最大となる349億円の赤字を記録した。
しかしながら、この期間中に同社の株価はほとんど下がっていない。14年1月の始値が2685円だったのに対して、15年12月の終値は2620円で引けている。16年1月に発表された決算発表で一時は2215円まで値を下げる場面もあったが、その翌月には2600円台まで買い戻され、今では5000円程度で取引される株となっている。
同社を支えているのが「優待族」とよばれる個人投資家の存在だろう。日本マクドナルドHDは、22年現在で34万人近い株主が存在する。株主1人当たりの持株数は393.4株。この数字には大株主も含まれているため、多くの個人投資家が100〜300株程度の保有にとどめ、株価を気にせずに優待のハンバーガーを楽しむことを目的としている人の割合が高いと推認される。
1人当たりの保有数が小口であることや、優待目的で価格を気にしない株主が多いこと、そして株価が安くなると優待を狙う新規の優待族が参入すること、このような要素が日本マクドナルドHDの下値を盤石にしているものと考えられる。
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