マーケティング・シンカ論

「チョコモナカジャンボ」はなぜ“パリパリ”なのか 着目したのは気象データ「食べたい」タイミング(2/5 ページ)

» 2022年12月21日 08時00分 公開
[加納由希絵ITmedia]

気象データで需要予測、“できたて”に近い味を届ける

 アイス商品は一般的に、最需要期である夏に向けて、事前に商品をストックしておくことが多い。急に気温が上がり、暑くなったタイミングで大量に出荷できるようにするためだ。森永製菓の場合、ジャンボ製品(チョコモナカジャンボ、バニラモナカジャンボ)以外では平均1カ月半の販売分在庫をストックしている。

 しかし、チョコモナカジャンボの場合は、アイスをモナカで包んでいるという特性上、時間がたつとクリームの水分が皮に浸み込み、食感が変わってしまう。鮮度の違いが味わいに直結するのだ。

「チョコモナカジャンボ」の工場(撮影:2019年)
チョコを吹き付けている(撮影:2019年)

 冷菓マーケティング部 ブランドマネジャーの鐘ヶ江望氏は「チョコモナカジャンボの価値をどのようにお客さまに知っていただくか。開発担当者がいつも試食している“できたて”に近いおいしさを届けられれば魅力が伝わるのでは、と考えたことが、鮮度を重視するきっかけだったと聞いています」と説明する。

 当初は、前年の販売実績やキャンペーン内容などをもとに需要を予測し、短期間で出荷するための製造計画を作成していた。気象データの活用を始めたのは17年。アイスの需要は気温や天候に左右されやすいことから、需要予測の精度を高めるために取り入れた。

 「鮮度を保った商品を多くのお客さまに届けられるように製造するためには、特に梅雨明けなど、一気に気温が上がるタイミングを把握することが重要になります。日本気象協会から一足早く情報をもらって、作りすぎや不足がないように計画をコントロールしています」と、物流部 SCMグループの田崎靖朗氏は話す。

 短期的には2週間先までの地域別出荷予測、中長期的には3カ月先、6カ月先の気象予測の提供を受け、全国に3カ所ある工場の製造計画を立てている。

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