田崎氏が話すように、年間でも特に重要なタイミングが梅雨明けだ。一気に気温が上がり、そこから最需要期である夏に入っていく。気温の上昇に合わせて、最もおいしい状態の商品がたくさん店頭に並ぶことが理想だ。
しかし、梅雨明けのタイミングを予想するのはなかなか難しい。そこで役立っているのが気象データだ。例えば、17年は梅雨明けが例年より早くなる予測が出たことから、急ピッチで製造に着手。実際に気温が上がるタイミングでたくさんの商品を出荷でき、さらに在庫が過多になることもなかった。一方、20年と21年はなかなか梅雨明けしなかったため、翌週の予測データを細かく見ながら、過剰な在庫を持たないように調整できたという。
ただ、梅雨明けのタイミングさえ分かればうまくいく、という単純なものでもない。鐘ヶ江氏は「22年は“戻り梅雨”となり、梅雨明けの発表後も気温が上がらず、予測が難しかったです」と振り返る。また、気温の数値だけでなく、前日との気温差を考慮するなど、消費者の“体感”に合わせて計画を立てることも必要になる。だからこそ、“気象のプロ”の技術を取り入れ、可能な限り正確な需要予測を出そうとしているのだ。
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