今回の値上げではほとんどの商品が対象となりましたが、そんな中で価格が据え置かれたのが「ブリュードコーヒー」のカテゴリーです。
「ブリュードコーヒー」は、商品ラインアップの中で唯一の300円台であるドリップコーヒーを含む、平均単価の安いカテゴリーです。ドリップコーヒーはスターバックス商品の中でも定番中の定番で、その日のうちであれば2杯目が安価に頼める(ワンモアコーヒ―)こともあり、1日に複数回来店したり長時間店舗に滞在したりするヘビーユーザー層に愛されている商品でもあります。
今回、「ブリュードコーヒー」カテゴリーが値上げの対象とならなかったのは、300円という価格を維持しながら固定客の離脱を防ぐ目的があったと推察できます。
その一方、同じく低価格帯である「ブリュードティー」カテゴリーは30円の大幅な値上げとなりました。これについて、筆者はある仮説を持ちました。それは、スターバックスがカテゴリーごとに顧客の支払い意欲を調査し、それに基づいて価格を決定しているのではないかということです。
つまりブリュードコーヒーをよく注文する人と、ブリュードティーをよく購入する人では、支払い意欲やその上限額に差があり、スターバックスはそこを計算したうえで価格に反映したのではないかと考えたのです。
この謎を解明すべく、当社は独自でスターバックスの利用者709人を対象に、普段よく購入する商品のカテゴリーと、その商品に対する支払い意欲を調査しました。
値上げ前は、ブリュードコーヒーが3商品で平均425円、ブリュードティーが2商品で各430円とほぼ同じ価格帯だった両者。それにもかかわらず調査の結果、ティーの支払い意欲はコーヒーよりも50〜100円程度高いことが明らかになりました。
そのうえで再度値上げ後の価格を見てみると、ティーの価格はコーヒーよりも15〜70円高く設定されています。分析から導かれた価格差通りではないものの、ティーを高値に設定する傾向は調査結果と一致しています。
スターバックスはブリュードティーに値上げの余地があることを見抜き、顧客の納得感を得られる価格帯を計算したうえで値上げを実施した可能性が高いといえるでしょう。
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