スターバックスは、ドリンクのカテゴリーによって顧客の支払い意欲に差があるという仮説を立て、その仮説に基づいて値上げを実施していたと考えられます。このように顧客が商品に対して感じる価値の差には値上げの余地があり、その差に応じた的確な値決め・値上げは、企業の収益拡大に大きく貢献します。
とはいえ、自社の商品やサービスのどこに顧客にとっての価値の差があるかを見極め、支払い意欲を正確に把握することは簡単なことではありません。調査や分析には時間も工数もコストもかかります。しかし勘や感覚に頼った的外れな価格設定では成長の機会を逃すだけでなく、「暴利だ」と捉えられれば顧客の信頼も失いかねません。
値上げが成功するかどうかは、企業のその後の経営にも大きな影響を与えます。顧客に向き合い、自社の商品やサービスの価値に見合った適切な価格設定をすることの大切さを、スターバックスの事例からは学ぶことができます。
高橋嘉尋(たかはしよしひろ)
プライシングスタジオ代表取締役社長。
これまでリクルートをはじめとする大手企業から、「money forward」など中小企業まで数十サービスの価格決定を支援。
また、公的機関、学会、雑誌などへのプライシングに関する論文提出や講演会、寄稿などを通じ、プライシングに対するノウハウを積極的に発信。
プライシング専門メディア【プライスハック】監修。
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