「自動芯繰り出し機能自体はこれまでにもありました。しかし従来品は、芯が減っていくと同時に金属部分のパイプも少しずつシャープの中に引っこんでいく仕様でした。一定の位置までパイプが後退すると定位置に戻り、それと同時に芯も出るのですが、それまではパイプを引きずるような形になるので、書きながらパイプがガリガリと紙に当たってしまうことがありました」(西村さん)
少し書きづらさを感じながら自動で芯が出るのを待つくらいなら、普通にノックしてパイプと芯を出した方が良いと感じる人もいるだろう。クルトガダイブの特徴はこの「書きづらさ」を解消した点にある。
クルトガの「40画書くと芯が1回転する」という機構を応用し、一定の画数に達すると自動で芯が出るように設計。クルトガと同じペースの40画で芯を出し続けると芯が出すぎてしまうらしく、そこの微調整にも苦労したという。
芯の消耗量も考慮した。筆圧や芯の硬度、使用シーンによって芯の消耗量は変わるため、個人差を踏まえ、芯の繰り出し量を5段階で調整できるように。自分好みにカスタマイズできるわけだ。
キャップもクルトガダイブを語る上で欠かせない存在だ。キャップがあることで、シャープペンシルっぽくない見た目になっている。どちらかと言うと、ボールペンや万年筆に近く感じる。価格に見合う高級感のある商品の演出に一役買っているようだ。
もちろん機能面での意味合いも大きい。西村さんは「従来の自動芯繰り出しが搭載されたシャープペンシルでも使い始める時は一度ノックして芯を出す必要がありました。キャップをすることで、芯が出ている状態でも保管できます。芯をしまう必要がないので、キャップを外してすぐに書き始められます」と説明する。
また、ペン先の保護という狙いもある。ペン先が出ていると衝撃が加わった時にパイプが折れてしまい、書き心地に影響を与えてしまうかもしれない。長く使用できるようにキャップでペン先を保護しているのだ。
キャップが生む「心理的な効果」もありそうだ。「キャップにマグネットを付けているので、はめた際に『カチリ』という音がするようにしたんです。クルトガダイブは”書くにのめり込む”をテーマに開発しています。音がすることで、書く作業に一区切りつける、切り替えるという意味付けができるようにしました」(西村さん)
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