攻める総務

ベテラン離脱でバックオフィスが窮地に ある物流会社がクラウド化に舵を切った理由業務のムダ改革(1/2 ページ)

» 2024年01月25日 07時00分 公開
[濱川太一ITmedia]

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 長年続けてきた業務のやり方を変えるのは、容易ではない。紙ベースの作業をデジタル化すれば、きっと楽になると頭では理解できても、なかなか行動に移すのは難しい。

 東海地方を中心に物流事業を手掛けるフレッシュ物流(三重県四日市市)が、紙ベースの年末調整業務をクラウド化したのは、2021年のこと。「もう限界です」――。長年、人事労務を担当してきたベテラン社員の悲鳴が、業務改革のきっかけとなった。

 同社はどのようにして年末調整業務のクラウド化を進めていったのか。クラウド化で得られた、思いがけない効果とは。

フレッシュ物流は年末調整業務のクラウド化をいかに進めたのか(同社提供、以下同)

属人化していた年末調整業務

 「ベテラン社員が退職したのが21年の春頃。これでは今年の年末を越せない、と焦りを抱いたのがクラウド化のきっかけだった」

 フレッシュ物流の福長万里子・代表取締役社長は当時をそう振り返る。

 同社は1984年に設立。愛知・三重県下に8営業所・11センターを展開し、軽〜大型トラック130台超を自社で保有。食品輸送をメインに手掛け、スーパーマーケットや飲食店などに配送している。

 従業員数は23年時点で904人。このうち人事労務業務は、本社管理部門5人のうち1人がメインで担当している。

フレッシュ物流は1984年設立。愛知・三重に8営業所・11センターを展開。食品輸送をメインに手掛ける

 それまでの年末調整業務では、まず全社員に配布する書類の仕分け作業だけでも、5人がかりで2〜3日を要した。1人の従業員に配布する書類は3〜4枚に上る。営業所ごとに事務担当者が書類の配布・回収を行うが、膨大な書類に一つ一つ目を通し、記入ミスなどがないか確認。その後、本社に返送された提出書類を改めて、管理部門の職員が細かくチェックする――といった流れで、本社・営業所ともに残業が頻発し、常に時間に追われる状態だったという。

 その上、回収した書類を基にデータを給与計算ソフトに入力する作業は、ベテラン社員1人が十数年にわたって担当。業務が属人化していたという。

 そんな最中にベテラン社員が退職することとなり、同社は否応なしに業務改革を迫られることとなった。インターネットや社員からも情報を募り、クラウド会計ソフトなどを提供するマネーフォワードの年末調整ソフトを導入することに決めた。

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