――部長となった今、日頃の業務やマネジメント、部下とのコミュニケーションで気を付けていることはありますか。
部長になってからは、たとえ些細(ささい)なことでも自分の考えや思考していることをなるべくマネジャー層と共有しようと意識しています。
私自身もまだ部長になって日が浅いので、やるべきことを整理している段階ですが、その中でもマネジャー時代にはない気付きや視座が得られることが多くて。それは今のマネジャーにも持っていてほしいものでもありますし、マネジャー時代の私が知りたかったことでもあります。
また、私はマネジャーの頃から、グループ内で関係性を高めるコミュニケーションを意識していました。マネジャーという立場を生かして年上の方には経験から生まれる良い考えや実力を引き出し、年下の若手にはラフに話しながらその内容を伝えるなど、円滑なコミュニケーションが生まれるようにしていました。
例えば、ミーティングの場で年上の方が強い意見を言うと若手は質問しづらくなります。そういう場合、何を言っているのかを私が聞き返して分かりやすく変換するようにしたり、若手が発言する際は私から質問を投げかけて話しやすい状況をつくったりしました。
――マネジャーに就任されて以降もかなり円滑に業務を回されていらっしゃいますが、これまでの取り組みの中で失敗した経験、挫折したことなどはありましたか。
マネジャーになったタイミングで、現場から手を引くのが寂しいという思いから開発業務も頑張ってしまったことです。マネジメントと開発を半々で取り組んでいたのですが、結果的にマネジメントの質がすごく下がってしまい、メンバーの悩みなどがくみ取れていませんでした。業務自体は回っていたので、気付くのが遅くなってしまったこともよくなかったです。
そのときに、マネジメントは手を抜こうと思えば抜けてしまうということに気付いたんです。例えばメンバーから出てきた悩みが個人の問題であれば、その人自身を成長させていくことで対応できるでしょう。しかし、開発フローに問題があることで個人の悩みが出やすい状態にある場合、マネジャーが手を抜いては根本的な解決はできません。
対応すべき課題が「グループ」や「開発のフロー」といった大きな単位になると、対応するコストやカロリーは高くなります。だからといって手を抜いてしまうと、その場しのぎな中途半端なアクションとなり、お茶を濁すだけになってしまう。
業務を回すことよりも、個人や組織が今よりも成長するにはどうしたらいいかを考えていくのがマネジメントのやるべきことだと認識を改めました。それからはマネジメントに専念できるよう、自分がしていた開発を他の人に委譲したり、すぐに委譲できない場合は中長期で考えて体制を整えたりしました。
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