忙しく仕事に追われる日々。入社時に抱いていた“熱”を常に持ち続けることは難しいように感じられる。
澁田さんは、定期的に「今の業務が自分のやりたいことにどうつながっているか」を振り返る時間を設けていると話す。
「モチベーションが下がってしまったときなどに、『でもこれって、自分のやりたいことにつながっているよな』と再確認すると、また頑張ろうと思えるんです」
ソニーには「自分のキャリアは自分で築く」という考え方が根付いており、「社内募集制度」「社内フリーエージェント制度」といった、キャリア自立を支援する人事制度がそろっている。この社風もあり、自然と自分のやりたいことと常に向き合う習慣が身に付いていると話す。
その際に意識しているのは、柔軟に考えること。
同社では「異見の尊重」を重視しており、多様なバックグラウンドや価値観を持つ社員同士の交流の活発化に取り組んでいる。
澁田さんは、2022年に育成プログラム「Sony University」に参加した経験が印象的だったと話す。若手リーダー向けのコースで、約半年間のプログラムを受講。映画、音楽、エレクトロニクス……ソニーのさまざまな事業から、数十人の従業員が集まり、「ソニーが今後5年間でどういう事業を展開したら面白いか」などをテーマに、議論したという。
さまざまな立場の従業員が参加し「誰一人同じ立場、属性の人はいない」環境。考え方の多様性に触れたことは、貴重な体験だったと振り返る。
「一つの物差しで測ってはいけないな、と感じる機会になりました。論理的に積み上げる力は、共通認識を作るための強力なツールですが、それだけでは『わくわく』は生まれません。行き詰まったときは、発想を柔軟に切り替えるようにしています」
現在は事業会社をサポートする立場でエンタメビジネスに向き合う澁田さん。多忙な事業会社のメンバーとコミュニケーションをとる中で日々意識するのは「業界横断的な情報を提供すること」だ。エンタメビジネスを多岐にわたり展開する同社だからこそ、さまざまな業界・企業の情報を収集し、発信していくことができる。
「いろいろな人の立場に立って考え抜けているか」──常に自問自答する日々だという。
「事業を作る上で大切なのは、熱を持つことと、いろいろな人の立場に立って考え抜けるかの2点だと思っています。既存顧客、新規顧客、グループ全体……プロジェクトが佳境を迎えると、視野が狭くなってしまうこともありますが、限られた時間でいかに柔軟に落としどころを見極めていけるかが、一番大切だと考えています」
自分だけで、事業や社内の動きを全て理解することには限界がある──澁田さんは続ける。
「いろんな人の意見を聞くことを心掛けています。誠実に向き合うこと、自分の弱みや悩みも素直に話すことが、信用につながると考えています」
悩んでいた時に背中を押してくれたアニメの魅力を、多くの人に届けていくという思いが、澁田さんの原点となっている。この「熱」がソニーのエンタメ事業のこれからの10年を盛り上げていくのだろう。
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