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Anthropicと組んだNEC それでも森田社長が「4つの主権」にこだわる真意(2/2 ページ)

» 2026年07月16日 07時00分 公開
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悪用される最新AI ITベンダーが直面する共同防衛のリアル

――Mythosなどのフロンティアモデルがセキュリティ上の脆弱性を見つける一方、それがサイバー攻撃に悪用される可能性もあります。ITベンダーとして、AIモデルにどのような懸念をお持ちでしょうか。また、対策上、特に難しいと感じている点があれば教えてください。

 まず明確にしておきたいのは、守秘義務などの制約があるため、Mythosそのものの詳細についてはコメントできないことです。その一方で、Anthropicとのグローバルパートナーシップには、当然ながらセキュリティ分野の共同開発や協力も含まれています。これは、今後登場する新たな技術についても一貫して対象となります。

 その上で、AIの悪用リスクに対しては「金融機関やクラウド事業者など重要インフラを担う事業者」「その上で稼働するさまざまなソフトウェアやシステムを提供する会社」「それらの製品を現場に実装するITベンダー」の3者が完全に協力しなければなりません。これから提供する新システムについてはしっかりと品質チェックをし、セキュリティレベルを上げていくこと。そして、すでに実装されている既存のシステムについては、発見された問題に対して迅速に対策を講じ、われわれがそれを確実に実装していく必要があります。

 今後の課題解決のためには、国際的な協力が欠かせません。ネットワークでつながっている以上、特定の企業や単独の組織だけで安全を確保することは不可能です。3者とも、それぞれの技術を十分に理解したメンバーから徐々に強固な連携を進めていく必要があります。繰り返しになりますが、ただAIにアクセスできるだけでは何も解決しません。対策とその「実装」を、いかに国際的な連携の中でやり切るかが不可欠です。

――金融庁で「AI脅威に対する金融分野のサイバーセキュリティ対策強化に関する官民連携会議」が開かれ、その作業部会でも議論が進んでいます。金融システムのサイバーセキュリティ向上について、NECとしてどのように貢献できるとお考えでしょうか。

 これもやはり、先ほど申し上げた通りです。Anthropicを含む最新AIモデルの重要なパートナーとして、われわれは最も泥臭く重要な「実装」の部分で貢献できると確信しています。また、今後の運用フェーズを見据えると、実際のオペレーションの中で継続的にシステムを監視し、即座に対応していく能力が必要です。そうした保守・運用の面でも強力に貢献していきます。

「日本は欧州の轍を踏むな」 死守する4つの主権

――データ主権に関して、ソブリンAIやソブリンクラウドといった分野への関心が高まっています。この領域のビジネスチャンスについて、どうお考えでしょうか。また、御社はデータセンターを自前で全て抱えるより、必要な部分は他社のリソースも活用しながら身軽に事業を進める方針だと思いますが、そうした設備投資の戦略も含めた事業方針を教えてください。

 ソブリン(主権)については、技術主権、システム主権、データ主権、運用主権の4つが必要だと考えています。私の見立てでは、現在の欧州は技術主権の自国確保が極めて難しい状況に陥っています。そうなると、データ主権と運用主権だけで防衛ラインを敷かざるを得なくなります。

 しかし、日本はそうであってはなりません。技術主権とシステム主権は、国としてきちんと自国で確保していくべきです。もちろんその全てをNECだけで実現できるわけではありませんが、国際的なテクノロジー連携を一方通行の依存にせず、いかにして日本の自律性を保つか。この極めて重要な部分で、NECは主導的な役割を果たしていきます。

 また、データ主権とデータセンターの保有は、決して一律に結び付けて語るべきではありません。例えば、民間セクターやコンシューマー領域において、そもそもデータ主権がどこまで厳格に求められるのか、そのグラデーションを見極める必要があります。

 確かにわれわれも自前のデータセンターを所有していますが、今後需要がさらに広がっていく中で本質的なのは、全てのインフラを自前で抱え込む戦略ではありません。ソブリン(主権)を確保するために、自社リソースと外部リソースを総合的にどう組み合わせ、コントロールしていくか。そして、技術・システム・データ・運用の各主権をいかに実現していくか、という総合的な視点を持つことが重要です。

 これらは国の規制や方針も関わってくるため、総合的に考えて進める必要があり「データ主権=自前データセンター」という単純な図式は適切ではないと考えています。

 企業秘密に関わる部分もありますが、技術主権においてはNECがしっかりとその責任を果たし、データ主権、システム主権、運用主権については、それを真に必要とするお客様に対して最適な形で用意していきます。当然ながら新たなルール整備が必要になるため、国や政府と綿密に連携し、理解を得ながら進めていく方針です。

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