――そうした変化がある一方で、難しかった点や、うまくいかなかったこともあったのでしょうか。
全てがうまくいったわけではありません。取り組みを始めた当初、インサイドセールスの現場では「これまで人が担当してきた仕事をAIに任せてよいのか」という漠然とした不安がありました。そして実際に運用を始めてからも、本来は日本語で送るべきメールを誤って英語でお客さまに送ってしまうといった想定外のトラブルも発生しました。
ただ、そこから発見もありました。英語のメールに対してお客さまが返信し、そこから商談につながったこともあったのです。ミスをした際にはまず謝罪しなければならないと考えがちですが、ミスの結果であっても、これまでになかった対応に顧客が興味を持ち、話が広がることもあります。
もちろんミスは改善すべきものですが、人も間違えるのですから、AIだけの問題ではありません。大切なのは、そこからどう改善していくかというチューニングなのです。この経験は、現場の担当者を含めた意識改革にもつながったと感じています。
――こうした変革を実行するにあたって、経営層にはどのようなリーダーシップが求められるのでしょうか。
問題意識を持った際に、自分自身がまず先頭に立って変革をリードしていくことだと思います。
実は、当社が社内で進めてきたカスタマーサポートと、営業の初期対応を担うエージェントの取り組みは、グローバルで見ると2番目に早いものでした。米Salesforceは米国発の会社で、多くの取り組みはまず米国から始まるのですが、今回は米国以外で最初に日本で導入するという意思決定をしました。
特にナーチャリング・エンゲージメントエージェントの領域については私自身が深く関わっていました。当時の日本市場におけるリードの状況やメンバーの状況を踏まえると、いち早く取り組むことでメリットを出せると強く感じていたからです。グローバルチームと話し合い、ローカライズを前倒しで進めた経緯があります。
目的がはっきりしている領域については、リーダー自らが動いて実行していく、トップダウンのアプローチが非常に重要だったと感じています。
――組織として目的を明確にし、効果を見えるようにするには何が必要でしょうか。企業の経営層に伝えたいことを教えてください。
個人の業務を効率化することで生まれた時間を、どこに使うのかを個人任せにするのではなく、組織として定義していくことが重要だと考えています。現場任せにするだけでは、本質的な変革は起きません。目的を明確にし、それを組織として実行に移していく。各企業のCxO(経営層)自身がプロジェクトとしてリードすることこそが、AIエージェントを活用して成果を出すための本質だと考えています。
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