「VWエコドライブトレーニング! 究極のスマートドライブを考える〜その1」:+D Style モテるクルマの選び方
エコが切り口のフォルクスワーゲン主催ドライビングスクールに参加してきました。原油価格高騰で燃費という言葉がぐっと現実的になってきた今、“究極のスマートドライブ”であるエコドライブをご紹介します。
冬空が気持ちよく透き通って晴れ渡った先週の週末。
フォルクスワーゲンがプレス、そしてフォルクスワーゲンオーナー向けにドライビングスクールを初開催しました。その名も「フォルクスワーゲン ドライビング・エクスペリエンス エコドライブ・トレーニング」!!
メーカーが開催するドライビングスクールって、実はサーキットなんかでは結構たくさん行われているんです。しかし、メーカーが行うトレーニングの中で、「エコドライブ」を切り口に行うトレーニングは、日本でも類を見ません。おそらく、初めての試みだったんじゃないかしら。
民間団体主催では、様々行われていることも聞こえてくるようになった「エコドライブ・トレーニング」。自動車メーカーが主催って、どういう狙い?! 民間団体の推奨するエコドライブと、どう違うの??
疑問だらけのココロを抱えつつ参加した私。しかし、フォルクスワーゲンが提案するその内容は、私が今まで抱いていた「エコドライブ」への概念を覆す、非常に楽しいプログラムだったのでした。
プログラムは2回の走行時間と2回のレクチャータイムで構成され、半日をかけて行われます。
まず1本目の走行は、設定された市街地コースをいつもどおりに運転します。
1回目、2回目ともに、インストラクターが助手席に同乗しますが、1回目は普段の運転をチェックしてくれます。とはいえ、ここは堅苦しいインストラクションではなく、ドライビングポジションなどの基本的なことや、コースを指示してくれる程度のやさしいもの。雑談を交えながら、カジュアルな感じで進んでいきます。
用意されていたスクールカーはゴルフGT、ゴルフ ヴァリアント、ジェッタのラインアップで、すべてTSIとDSGを搭載したモデル。私はゴルフGTに乗ったのですが、その楽しさとパワーに圧倒されながらも(これについては後述でご説明しますね)、楽しく走行を終えました。
走行が終わったら教室に戻り、講義がはじまります。
写真でマイクを握っているのは、清水和夫氏と同じくレーシングドライバーであり、モータージャーナリストであるインストラクターの佐藤久実氏。お2人とも私が大尊敬する憧れのひと。講義のメモを取る手にも力が入ります
講師は、私も大尊敬してやまない、レーシングドライバーでありモータージャーナリストで、このエコドライビング・トレーニングでチーフインストラクターを務める清水和夫氏。
清水氏はクルマそのものの知識だけでなく、交通や道路、海外事情など、クルマを取り巻くすべての方面に精通した、まさに「クルマ社会のスペシャリスト」なのです。
もちろんエコにも造詣が深く、「へぇ〜!!」なトリビア(微妙に古いたとえですみません)を交えながら、わかりやすくエコドライブのポイントをレクチャーしてくださいます。
講義が終わったら、レクチャーにて習ったばかりのエコドライブで2本目の走行。
うまくできるかしら……とキンチョウしながらステアリングを握った私ですが、インストラクターが優しくポイントを教えてくれるので、エコを意識しながらも、退屈することなく走行を終了しました。
ポイントは
・ 2000回転以上回転数を上げないこと。2000を超えそうになったらアクセルをすっと戻し、シフトアップを促す。
・ 1分以上の信号停止はアイドリングストップをする。
・ 下り坂などではギアをN(ニュートラル)に入れ、惰性を上手く使う。
などなど。
ここで面白いのは、ほかのエコドライブのスクールでよく指導される「ふんわりアクセル」に代表される、「とろとろ発進」を指示されないこと。「ふんわりアクセル」は都市の交通事情によって有効な場合とそうでない場合がある、というのです。
例えば信号から発進する際に「ふんわりアクセル」で発進したとしましょう。ある程度のクルマが後続していれば、青信号の間渡りきれるクルマの台数が減ります。そのふんわりアクセルで発進したクルマ自体はエコドライブでCO2排出量が減っても、後続のクルマは渋滞のためにCO2をたくさん排出することになり、エコではなくなるわけです。
また、アクセルを踏みすぎるのはもちろんよくありませんが、あまりにもおくゆかしい踏み方をすると、エンジンが空気を吸い込みにくく、効率が悪くなります。
ですから、加速の際は、低いギアでアクセルをゆるく踏むよりも、高いギアでアクセルを多く開けたほうが効率がよく、従って「とろとろ運転」がエコドライブの総てではない、ということを提唱しているのです。
加えて回転数を2000以上にならないようにチェックし続けなくてはならないので、まるでスポーツトレーニングみたいに休まるヒマはありません。
「なんとなくエコドライブって退屈そう……」
「おもしろくなさそう……」
なんて思ってる皆さん。エコとファンって、両立できるんですよ!!
大切なのは、エコがエゴであってはならない、ということ。後続車両や交通社会のことをグローバルに考えて自分が出来ることをする。エコドライブは、究極のスマートドライブなのです。
エコドライブが終了したら、再び清水氏より地球環境やクルマの未来のお話を聞き、そのあと同乗したインストラクターと一緒に、自分の走行データを見ながら班ごとにクリニックが行われます。そして修了証が授与され、トレーニングは幕を下ろします。
記者発表にて、フォルクスワーゲングループジャパンの梅野代表取締役社長が「エコに対して、TSIをはじめ、ハード面の用意はできた。あとはそれを使う人の意識だ」と、このエコドライビング・トレーニングを立ち上げた理由を述べました。
確かにテクノロジーは、ありえないくらい進化しています。
ブレーキを踏んで、車速が完全に止まると、アイドリングがストップするクルマも増えてきました。ハイブリッドや燃料電池、ディーゼルやバイオ燃料。エコに関するハード面の情報は、引きも切りません。
だけど、それを受け入れる私たち、準備は整っているのでしょうか??
いくらハイブリッドカーに乗ってても、ガンガンアクセル踏んで走行したんじゃ、それは逆にエコとかけ離れたエゴ運転ですよね。
原油価格の高騰により、燃費という言葉がぐっと現実的になってきました。今やエコロジーはエコノミーであることから、たくさんの方々の関心が高まっています。
次回も、このエコドライビング・トレーニングについて、お話をさせていただきたいと思います。
VWエコドライブトレーニング! 究極のスマートドライブを考える〜その2「実践編」
「どうやったらガソリン使わない運転ができるの?!」――。今回はフォルクスワーゲンの提案する「エコドライブ10か条」を、「モテる♪ 注釈付き」で紹介します。
筆者プロフィール
今井優杏(イマイ ユウキ)
2006年にレースクイーンを引退し、レースを通じて知ったクルマの素晴らしさを伝えたい! とモータージャーナリストに転身。また、MCとしても、モータースポーツ関連イベントを中心に幅広く活動中。
愛車はFIAT・バルケッタ(赤)。ラテンのクルマを愛する情熱系。
クルマは所有も運転もJOIA(喜び)。もっと楽しみましょう!!
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 第21回:キャットウォークなスポーツワゴン「プジョー407SW」
中距離移動用クルマとして「プジョー407SW」を試乗してみました。「走り」を忘れられないけど家族が増えた、仕事で荷物が多い、なんて事情の方には、激しくオススメしたいモテ車です。 - 第20回:ふたつのCがあなたのものに――「プジョー207CC」(後編)
「クーペの美しさ」に「オープンカーの開放感」という“モテるクルマ”の条件をあわせ持つ「プジョー207CC」。「前編」に引き続き、207CCのしなやかな走りと、上品なシート、意外と広いラゲッジスペースなどを紹介。 - 第19回:ふたつのCがあなたのものに――「プジョー207CC」(前編)
イベントシーズン到来! モテるクルマの代表格・オープンカーの中から、“クーペ・カブリオレ”の意味を持つ「プジョー207CC」を紹介。電動ルーフの開け閉めで、カブリオレからクーペに変身する様子がカッコイイ! - 第18回:食わず嫌いしてない?! オトコマエ軽自動車「セルボSR」
- 第17回:クーペ+SUV+ハイブリッド=BMW コンセプトX6
- 第16回:フランクフルトモーターショー!「ポルシェ編」
- 第15回:来年も行くぞ!! F1日本グランプリ
- 第14回:フランクフルトモーターショー!「Fiat 500(チンクエチェント)編」
- 第13回:フランクフルトモーターショー!「フェラーリ編」
- 第12回:フランクフルトモーターショー!「メルセデス&スマート編」
- 第11回:ゼッタイ病み付き!! オープンカードライブ
- 第10回:セレブの大好物 〜プレミアムSAV「BMW NEW X5」
- 第9回:観戦してみない? スーパーGTの歩き方 〜初心者編〜
- 第8回:スーパーGT第5戦in菅生に見た、真の「モテ」とは
- 第7回:ジャガーという選択
- 第6回:サーキット走行のススメ
- 第5回:史上最小ボルボ登場!「Volvo C30」
- 第4回:首都高最前線に潜入!! 「渋滞ゼロの10年後を目指して」
- 第3回:モテるコンパクトカーという選択
- 第2回:新次元ハイブリッドカー「レクサスLS600h/L」体験リポート
- 第1回:最高級フラッグシップ「レクサスLS600h/L」の魅力(出会い編)