アートフィルター以外の、通常の撮影モードとしてはフルオートからフルマニュアルまでを完備する。撮影モードの選択はボディ上部のモードダイヤルを使用し、絞りやシャッター速度の調整にはグリップ部のコントロールダイヤルを使う。
各種の設定については、露出補正やホワイトバランス、ISO感度、測光、AFモード、ドライブモードなどにそれぞれ専用ボタンがあり、素早いパラメータ調整が可能だ。発色傾向を変更する「仕上がりモード」や、記録画素数と記録サイズ、調光補正など専用ボタンがない機能については、液晶上の情報表示を見ながら、OKボタン+十字ボタン+コントロールダイヤル操作で切り替えられる。
また、初期設定では顔検出のON/OFFが割り当てられている背面のFnボタンは、カスタムメニューから、ほかの機能を割り振ることができる。さらにカスタムメニューでは、連写ボタンの働きやダイヤルの回転方向、十字ボタンの機能設定、オートISOの上限設定など、各種の機能や操作性に関して細かいカスタマイズができる。初めてEシリーズを使う人にとっては、そのカスタム設定が何を意味するのか分かりにくいが、マニュアルを読みながらきっちり設定すれば、自分が使いやすいカメラの状態に仕上げることができる。
ユニークな機能としては、画像のアスペクト比を「4:3/3:2/16:9/6:6」から選べるマルチアスペクトや、1回撮影した画像を液晶上に半透明表示しつつ、2回目の撮影を行い、その2枚を自動合成する「多重露出」機能を搭載する。どちらも上位機E-30から受け継いだ機能だ。
E-30に比較した場合、機能の数や設定の自由度はやや低くなり、手ブレ補正の効果や連写スピード、最高シャッター速度、AF測距点の数、ファインダー倍率などがスペックダウンしている。だが、それでもエントリー製品として非常に多機能なカメラといえる。それに何より、バリアングル液晶とアートフィルターを維持したまま、E-30よりも一回り小型軽量化したことがうれしい。
撮像素子は、E-30と同等の4/3型有効1230万画素のハイスピードLive MOSを採用する。初期設定の画質は、彩度やシャープネスを適度に強調したバランスのいい仕上がりだ。オートホワイトバランスの安定感もある。高感度の画質については、ISO800以上では暗部のノイズがやや気になる。画質を優先するならISO400以下で使用したい。
以下の作例は、北海道取材の合い間にスナップしたもの。小さくて軽いボディとレンズは、旅行のスナップ用に打ってつけだ。薄型軽量の単焦点レンズ「ZUIKO DIGITAL 25mm F2.8」を使えば携帯性はさらに高まるが、今回は構図のバリエーションを重視して、ダブルズームキットに付属する標準ズーム「ZUIKO DIGITAL ED 14-42mm F3.5-5.6」と望遠ズーム「ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F4.0-5.6」の2本を使用した。
画質については高感度以外は特に不満なく、狙い通りの澄んだ青空を表現できた。操作性についても慣れれば慣れるほど、快適に使いこなすことができた。ただ、前述したようにライブビュー時のイメージャAFの遅さには戸惑うことがある。バッテリーの持久力や液晶の視認性、ボディ内手ブレ補正の効果などは良好で、現在のEシリーズの中では最もお勧めできる製品といえる。
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