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第136回 雪景色と寒さの関係今日から始めるデジカメ撮影術(2/3 ページ)

» 2011年01月21日 09時30分 公開
[荻窪圭,ITmedia]

明るさと色に気をつけるべし

 では屋外で撮影。

 雪景色で一番やっかいなのは「露出」。雪は白くて明るい。

 降雪中は空も白いし地面も白い。オートで撮ると、カメラは露出を抑え気味にするので全体に暗くなる。そういうときはちょっとプラスの露出補正を施してやるのが正しい。確かにそうなんだが、構図中の雪成分がどのくらいあるか(つまり白いところがどのくらいあるか)、写真をどんな風に仕上げたいかで適正な露出が違ってくる。カメラによっても違う。最近のカメラは賢くなったので、ヘンに補正をかけない方がいいこともある。

 おすすめの撮影方法は「ブラケット撮影」。露出を変えながら連写する撮影方法だ。どれが適正かはあとで選ぶといい。0/+0.67/+1.3と0.67ずつ(2/3段ずつ)変えて撮ってみた雪の鶴ヶ城がこれ。

photophotophoto 左から、補正なし、+0.67補正、+1.3補正

 白い空と白い雪と白い壁という、白成分が非常に多い構図だ。補正なしだと少し暗い感じになるけど、どんよりした雪国の感じがでる。+1.3まで明るくするとまぶしさがでて、真っ白な雪景色に城の黒い瓦が枠線のように浮かび上がってて、これはこれでかっこいい。でもバランスがとれているのは2枚目かな。ほどよく明るくていい。

 ちなみに、実はお城が工事中で下の方はこんな風に足場が組まれてるので、上の写真はそれを隠すために前景にこんもりと盛り上がった雪を置いて少し低い位置から撮ってる。

 城だーと思ってすぐ撮るのもいいけど、ちょっと歩き回って、光の加減や周りの風景を見ながら気に入った位置を探すのは重要だ。

photo 普通に撮るとこんな感じ。工事の足場やブルーシートが写っちゃうと興ざめ

 でもちょっとした光の加減で適正な露出は大きく変わるので、液晶モニタをチェックしながらいろいろ試してみよう。

photo この構図だと、+1.3の補正をかけた方がきれい

 逆に古い建物や暗い森が構図にはいってたりすると、露出をやや抑えめにしたくなる。

 そうすると、渋く、わびさびを感じさせる雰囲気が出てくる。

photo 古い建築物はやや抑えめの露出でどんよりさせた方がいい。マイナスの露出補正で撮影

 どういう写真にしたいかで適正な露出は変わってくるのであれこれ工夫してみたい。

 次のポイントはホワイトバランス。雪景色は白い。むしろ青白いくらいなのでちょっとした加減で色が変わる。

photophoto ホワイトバランスを変えての撮影。左がオート、右が日陰

 最近のオートホワイトバランスはかなり優秀だが、たまにこんな風に思い切り青白くなることもある。日陰はもともと青っぽくなりやすいのだが、雪だとそれが目立つのだ。

 では撮り比べ。ちなみにこれは普通の歩道だ。天候は薄曇り。露出補正は+0.67で。

photophotophoto 左からホワイトバランス「晴天」「曇天」「日陰」

 一番ナチュラルなのが「曇天」かな。

 でもこの中に正解はない。だって、雪の青白くてクールでつめたい感じを出したいなら晴天モードがいいし、ちょっと暖かさがあって生活感が出てる感じなのは赤みのある日陰モードだし。

 雪は白い分、ホワイトバランスのちょっとしたズレが目立ちやすく、天候や時間帯で色が大きく変わる。逆にいえば、ちょっとしたホワイトバランスの設定で写真の雰囲気をがらっと変えられるわけだ。

 なお、今回は風もなくて気温の割に冷たさを感じなかったので素手で撮ってるけど、グローブが必要な寒さになると、カメラの細かい操作をしづらくなる。そんなときは現地での設定は最小限にとどめ、全部RAWで撮っちゃって、WBはあとからパソコン上で現像する、というのも手。

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